初夏の読書2021

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一風変わったタイトルに惹かれて買った中古本。筆者の白洲正子は、できるだけ避けるようにしていた一人であるが、食わず嫌いがあまりに多いことを反省し、最近はむしろ積極的に手にとるようにしている。本書は、筆者の随筆選集を活版刷り特別装丁の限定本として出版された同名本を、後年内容を追加して普及版として発行されたもの。
その内容は多彩で、例えば東大寺講堂跡のこと、十一面観音のこと、能楽に関すること、自身の骨董集めに関すること、人生観等々。いずれも筆者のそれぞれの道の高名な人々との交流を通して得られた含蓄の深いものである。もう一つくらいは読んでみようかなと思っている。

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開高健ものも面白い。はじめは随筆集だった。タイトルの”ピカソ”の文字に惹かれ手に取った「ピカソはほんまに天才か」は、それまでウイスキーメーカーの広告担当者で釣りキチという思い込みを全く覆す衝撃的な文章だった。単に博識・行動力があるだけでなく、自身の経験に基づいた強い信念と思想信条に溢れていた。そこからもっと読みたいと思ったがなかなか次に出会えず、「開高健ベストエッセイ」を注文して読んだ。なんか久々に痛快感を覚える。もっと読みたい。吉行淳之介との対談集「対談 美酒について」は面白くはあったが、ちょっと当てが外れた。そして「フィッシュ・オン」「私の釣魚大全」と釣りものに行き、読み終えたところである。川釣りは子供の頃以外やったことはないが、文章から釣り師の気持ち、魚の気持ち、そして川・湖の気持ちが伝わる素晴らしい内容だった。

家籠り生活が続く中、乱読・乱聴は止まるところを知らない。セカンド・ハンド・ショップに大感謝!