50年選手集合

”パイオニア”のレコード・プレーヤー・PL-1100が届いた。もうこれ以上は買わないでおこうと、つい最近も自分に戒めていたはずが、ネットで傷のない美しい個体写真と8,000円台という価格を見た瞬間ポチッとしていた。後で調べると1974年発売のDDプレーヤーとのこと。先に入手した同じくパイオニアの自社製カートリッジ・PC-330が1973年発売なので、50年選手の組合せでレコードを演奏することができる!

当初入手した個体(針がオリジナルかは微妙)はダンパーがヘタリ気味だったため、別途購入した未使用のオリジナル針を装着。素晴らしい性能はPD-171Aで確認済み。この組合せにもう一つ50年選手が加わる。ダイアトーンのレシーバー・DA-R320は1973年発売。これまで寝る前のFM用として使っていたが、年数を感じさせない力強い音に、いつか外部入力で鳴らしたいと思っていた。恐る恐るフォノ端子にPL-1100を繋ぎ電源を入れる・・・、異音もせずヴォリュームを12時ごろまで上げてもノイズは小さいまま。ではとレコードを載せ、針を下ろす。・・・、ちゃんと鳴る。それも帯域は狭いがダンピングの効いた力強い音で。

かけたレコードは、P.トゥルトゥリエ(Vc)とR.V.ラクロワ(Cemb)によるヴィヴァルディのチェロ・ソナタ1984年のクレジットだが、ネットによると録音年は1964年とあり、なんと60年選手。古さを感じさせないエラートの滑らかな美音に耳を傾ける。

このプレーヤーの良さは音だけではない。操作性がとても良い。写真手前のトグルレバーが一番奥にあるときは電源オフ。一つだけ手前に倒すと、電源が入りターンテーブルが回り出す。ターンテーブル外周にある回転数調整用のドットも見やすく、調整ダイヤルも反応が早い。そしてトグルを一番手前に倒すとアームが降下する。トグルをゆっくり倒すと、アームもじわっと下がるのでヴォリュームを上げたままで聴き始めることができる。極端に言えば、このトグルレバーだけでレコードを聴くことができる。操作性に関しては、PD-171Aよりも優れているのではないか。決して高級機とは言えないこの機種(1974年発売時価格 39,800円)を通じて、かつて「サントリパイ」の一角と言われた”パイオニア”の技術力を体感することができた。

春よこい


プリティ・ウーマンという名のチューリップ。まさしくジュリア・ロバーツのよう。
寒暖差の激しいこの季節、急な寒波襲来でも部屋の中はほっこり。

これまで箱にも入れずユニット単独で頑張ってきたエレクトロ・ヴォイスのPRO-12Bに可愛い相棒を付けてみた。フォステクスのホーン型ツイーターでは最廉価のFT-17H。BearHorn社のスタンド・キットに組み上げられたものがネットに出ていたのでついポチっと。定価の6割ほどしたが、ほとんど使った形跡のない良品だった。PRO-12Bはその個性である中域によりお気に入りではあったが、古いジャズやロック以外ではやや苦しいためツイーター追加を考えており物色中だった。スタンドの配線には0.68μFのデイトン・オーディオ製フィルム・コンデンサーが付いているのでカットオフは10KHz程度だろうか。計算ができないため適当だが、まあスーパー・ツイーターと考えているのでちょうど良さそうだ。

さて、音はどんなふうに変わるのだろうか。
とりあえず手当たり次第にいろんなジャンルを聞いてみる。CDでマイケル・ジャクソンの「BAD」、ビル・ウィザースの「Lean On Me」。いずれも低域はほとんど変化を感じられない(当たり前!)が、高域がとても素直に伸びている。FT-17Hに耳を当てても音はわずかしか聞こえないのだけれど不思議なもんだ。
続けて、LPでポリーニによるストラヴィンスキーの「ペトローシュカ」をかける。ピアノの音色に艶が出てきたように聞こえる。
夕食後、NHK・FMでコバケン指揮による群馬交響楽団ブラームス交響曲第4番」を聴く。これまでの小さくまとまった音場が広がったように感じる。高音がミストのように中音域の回りを漂い、いい気持ちにさせてくれる。これがスーパー・ツイーターの効果か、と納得する。

今日の最後は一押し名盤、グレートフル・デッドの「American Beauty」。声が、ギターが、キーボードが、その他全ての楽器がとても滑らかだ。一方でこれまでのゴツゴツした感じが薄まりなんとなく物足りなさもあるが、それはそれでイコライザーによる調整でしばらく楽しめる。

年末年始ハマったシリーズ本


京都のとあるジャズ・バーでのアルテック・612Cモニター(と思う)。この年季の入った佇まいが渋い。ユニットは604-8Gだろうか。さすが604シリーズ中で最高のスペックを誇るだけあり、ライブの合間に小音量ではあったが低域から高域まで過不足なく雰囲気タッっぷりのジャズを聴かせてくれた。わが憧れのスピーカー(アルテックの15インチ径デュプレックス同軸スピーカー)である。

大体なんでもすぐに集めたがるというか、いつも集中型の読書である。この度は、お馴染みのおとぼけ&ちょっと色気混じりのコミカルな絵が特徴の漫画家?エッセイスト?東海林さだお氏の丸かじりシリーズと関連のエッセイにハマっている。まだ全て読み通したわけではないが、いずれも「そうそう」とか「あったよなあ」と頷かずにはいられないものが満載だ。シリーズ46巻全て揃え、ニヤニヤしながら読んでいる方も多い(に違いない)。


大口を開けたイラストに思わず手が伸びるのが、著者本人の作品ではなく和田誠氏作だそうだ。

通勤時、就寝前、そして昼間陽の良く当たるダイニングで、眠くなりながら少しず少しずつ読んでいる。

その一節を借用する。

『でも、たまに食べると饅頭はおいしい。
特に、心が少しいじけているとき食べるとおいしい。
いじけて、饅頭の表面の薄皮を、爪の先でつまんでピリピリはがしているところなど、いじけた心にとてもよく似合う。
そういうときの饅頭は、あんまり大きくないのがいい。形は丸くて平凡なのがいい。色は茶色のやつがいい。甘みは少しおさえめがいい。ハンコは押してないのがいい。お茶はぬるめの渋茶がいい。しみじみ噛めばしみじみと、いじけた心にしみるのさ。・・・』(東海林さだお著「ダンゴの丸かじり」”饅頭こわい”より)
先日亡くなった八代亜紀さんの舟唄のようだが、なんと細かく適切な描写であることか。


ベッドに入り就寝までの数分かせいぜい30分ほどの読書の間に心地よい音色でラジオを聴かせてくれる、ダイヤトーンのレシーバーDA-R320

PRO-12Bに髭を付けてみた


オルトフォンのMI型カートリッジ、VMS-30MkⅡ。パンチの効いた低音とか煌びやかな高音といった派手さはないが、まろやかで繊細な音はクラシックに◎。40年ほど前発売なのにとても綺麗で◎。比較的割安なのも◯。

今年はコロナ禍がひと段落したので遠出も考えたが、休暇の大半は家に篭っていた。といってジッとしているのも辛く、簡単な工作系をやってみた。

先日来ライブ的な音に惹かれているエレクトロボイス・PRO-12Bの安定性を高めるために、ネジ孔の2つを使って前足?(髭?)のような板を取り付けた。薄いMDFに化粧シートを張って、小口は黒マジックを塗っただけ。少し背が高くなり、そのままでは大きく上を向いてしまうためマグネット部下に板をかました。それだけでは少しガタつくので間に吸音材を挟んでみた。

 

音が変わったかというと、前後で違いがよくわからないが低音が少しハウリングしているかもしれない。ユニット下に空間ができたのでそこから聞こえるような気がする。今のところあまり気にならないため、しばらく様子を見ることにする。


芋虫のような松笠と凹凸パネルは、結果はよくわからないけれど、一応音響効果を狙って配置。少なくとも凹凸パネルで響きがすっきりした(ことにしておく)。