夕方葉を閉じて、朝また開く律儀なエバー・フレッシュ。本格的に暖かくなり新芽がぐんぐん伸びる。
古い名盤ジャズにはモノラル録音が多い。オーディオ雑誌などでモノラル録音はモノラル・カートリッジで聴く音が最高というのがよく載っている。そしてついに我が家にもやって来た。国産モノラル・カートリッジの定番、デノンDL-102。中古だが傷汚れがなく、持つと適度に重さを感じられる金属製ハンマートーンのボディがカッコいい。適正針圧3±1gにも関わらずカンチレバーはスマートで華奢に見える。スタイラスはそこそこ残っている。見た目は鉄仮面かアイアンマンのマスクといったところか。
手持ちで唯一空いていたJICO製軽量シェルに付けてみた。接続は長〜い端子に通常の4本あるリード線を片側2本ずつ繋いだ。シェル形状のためオーバーハングが1㎜ほど不足するが大丈夫だろう。アームレストから離す時指先に感じる重さは、いい音の予感。まずはジャズからMJQ、マイルス、ファッツ・ウォーラー、コルトレーン、などを数曲ずつ聴いた。盤にもよるが、概ね音に芯が感じられ、滲みが少なくクリアだ。ステレオ感が無い分、音に集中できる。この辺りもモノラル・カートリッジの良さか。ジャンゴではケニー・クラークのドラムスがこんなに激しいとは思わなかった。
続いてクラッシックのモノラル盤を聴いたが、選曲が悪かったのか特に良さが感じられない。それではと、ジャズ・ボーカルを聴く。これまで盤質が悪くノイズを我慢しながら聴いていたヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウンは、少し薄っぺらいと思っていたヘレンの声に迫力が感じられた。さらに、サラ・ボーンのこれもウイズ・クリフォード・ブラウンでは声や各楽器の分離が良くなり、特にホーン系の深い響きが感じられた。
これまでモノラル盤はアンプ側でモノラル設定にして聴いており、ステレオ設定時より音域が狭くなりクリアさが減少すると感じていた。それがモノラル・カートリッジの使用によりステレオ盤と同じ音質でモノラル盤を聴くことができるのは嬉しい。先日スペースの関係で片付けてしまった各種フルレンジをモノラル用に復活させて聴き比べるのが楽しみになってきた。