ミーツ・ザ・りずむセクション

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年明け早々にレコードプレーヤーを新調した折、知り合いの喫茶店オーナーからアート・ペッパーのLPをお借りした。オーナーはアート・ペッパーの音楽に出会ってからジャズにのめり込んだそうで、できれば音質の良いものでという当方の要望も考慮して、所有のたくさんの中から『ミーツ・ザ・リズム・セクション』、『モダン・アート』、『+イレブン』の3枚を選んでいただいた。いずれも名盤の誉高いものばかり。中でも『ミーツ・・・』は、お店で聴いた人みんなが恐れ入るという超優良盤。1988年にリマスターされた輸入盤で、素晴らしい演奏が本当に生々しく再現される。借り物ながら目下当方のリファレンスとなっている。
以降、中古ショップ「りずむぼっくす芦屋店」へ行く都度同じものを探すのだが、いざとなるとなかなかお目にかかれない。それが先日お店のTwitterを見ていて、『モダン・・・』のLPを発見。迷わず取置きの電話をした。後日、引き取りに行った際何気なく商品棚を覗くと、あるではないか『ミーツ・・・』が。しかも少し安い価格で。再発の日本盤で盤質は通常良品のA+。ジャケット写真が少々荒く赤みがかっているが、買わない手はない(写真)。
そして、昨晩かけてみた。のっけからブチブチがひどい、飛ばしてかけてみるがどこもブチブチ。ブラシをかけても特に埃は付かない。よく見ると。どうもカビているようだ。ここは思い切って洗浄しよう。最近の月刊誌「アナログ」や「オーディオ・アクセサリー」でも洗浄を推奨している。まずはセスキ水スプレーを両面に吹き付け10秒ほどおいたのちに水道水で洗浄。続いて、泡状のハンドソープを手につけ盤面をクルクルと撫でるように両面洗った。水道流しっぱなしで洗剤を落とす。水を粗く切ったあとキッチンペーパーを当てて水分を取り、その後は立て掛けた状態で扇風機の風で30分ほど乾燥。さて結果は・・・。
まずまずは良好な結果である。ブチブチは10分の1ほどに減った。音のメリハリも向上した。アートの緩急・強弱自在のアルトにフィリー・リー・ジョーンズのドラムスがビシバシ決まる。ということで、本日は一緒に買った6枚を含めアナログ三昧といこう!

TAKING STOCK(テイキング・ストック)

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「Taking Stock」というのは「棚卸し」のことだそうだ。オーディオルームを以前より狭い部屋に移動し、LPやCDの収納場所が足りない。移動時に半分に減らす目標を立てたのだが、実行できたのはまだ1割にも満たない。そんな状態の中、我がロック愛聴盤の師と尊敬するピーターバラカン氏が昨年夏に『テイキングストック 僕がどうしても手放せない21世紀の愛聴盤』という本を出したことを知り、先日ようやく手元に届いた。

内容は最近2年間ほどでウェブサイトに執筆したコラムをまとめたもののようだ。さらに氏が2005年に米RollingStone誌に提出した”All–Time Top50”と”The Big List”なる700曲に及ぶ好きなアルバムのリストが載せられている。”The Big List”の中には手元にあるアルバムが結構含まれている。しかし、元々拠り所としたのが氏の著作『僕が愛する名盤240』なのだから当たり前か。気になったのは、エリック・クラプトン名義のアルバムが1枚もなかったこと。デレク・アンド・ザ・ドミノス名義の”レイラ・・・”とJ・メイウォール・ウイズ・E・クラプトン名義の”Bruce Breakers”がかろうじて載っているのみ。これだけは納得がいかないな。

本編となる21世紀の愛聴盤はどれも聴いてみたいものばかり。特に、数年前NHK–FMのミュージック・サンシャインで取り上げられ気になっていたが、ソフトを見つけられずそのままになっていた2枚に再び興味津々である。1枚は、Trio Da Kali & Kronos Quartetの”Ladilikan”。なんとアフリカ系ミュージシャン3人と弦楽四重奏団のコラボレーション。どんな曲だったかすっかり忘れたが、印象的なジャケットでもありアルバム全体を聴いてみたい。あと1枚はマンドリン奏者が奏でるバッハのバイオリン・ソナタとパルティータである。純粋なクラシックと言っても良いような演奏だが、バイオリンよりももっと親しみやすい音色だったと思う。このジャケットもアーシーな色使いが忘れられない。
他にも名前だけで聴いたことのないデレク・トラックス・バンドやニック・ロウ、あるいはマイケル・キワヌカ。そして、ジョニ・ミッチェル最後のアルバムとなるかもしれない”Shine”やウィリー・ネルソンが近年発表した”Last Man Standing”や”Summertime:Willie Nelson Sings Gershwin”などなど、目白押し。これではTaking StockどころかGrowing Stockだ。トホホ。

f:id:hinoikelife:20210509230528j:plain Trio Da Kali & Kronos Quartetの”Ladilikan”

f:id:hinoikelife:20210509230520j:plain Chris thile "Bach: Sonatas & Parthitas, Vol.1"

ヴァン・モリソンも歌っていた

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意外だった。何度も観たはずの『愛と青春の旅立ち』のサントラにヴァン・モリソンの曲が入っていた。自作の「愛の渇き」。どんな場面で流れていたのだろうか。彼のアクの強い声も、ジョー・コッカーの前では影が薄かったということだろうか。それでも彼らしいシンプルな中にも本当の愛に飢えた男の気持ちを切々と歌い上げている。

最近、映画の中の名曲に気付くことが多い。最も好きな映画の一つである『The GOOD, The BAD and The AGLY(邦題;続・夕陽のガンマン)』のエニオ・モリコーネによる名曲の数々、『ディア・ハンター』の”CAVATINA”(村治佳織がギターで弾くこの曲も良い)、『フォレスト・ガンプ』のバックで流れる60年代〜70年代のヒット曲の数々、などなど。これらはほとんどCDだが、80年代のヒット映画のいくつかはLPで持っていた。『愛と青春の旅立ち』もその一つ。それらLPの中に、もうひとつエニオ・モリコーネの作品があった。『アンタッチャブル』、こちらは音楽というか効果音のような感じだが、緊迫感のある曲が延々と続く。

オーディオルームは狭くなったが、両手を伸ばせば機器の操作もソフトの取り出しも椅子に座ったままでできるというのは、大きなメリットだ。収納的にソフトをあまり増やせなくなってきたので、今後は聴き込むことに重点をおこうと思う。

自作音響パネルに挑戦 その2

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オーディオルームを移動した。広さが7.5畳から5畳ほどと狭くなった。スピーカーは独立した設置からサイドボード(食器棚下半分の転用)の上へ置くことになった。すると下面バスレフの効果がこれまでよりもしっかりと出てきた。部屋が狭い、しかし両サイドに50センチほどの空間ができた。さらに、リスニングポイントも近くなりニアフィールド的な聞こえになったことなどが重なったものと思われる。
ただ残念なことに、音像の高さがかなり下がってしまった。スピーカーの高さが10センチほど低くなったのが主たる要因とは思うが、聞こえでは20センチほどは下がったように感じる。スパイクを調整して仰角になるようにしたが(SMー10Zは元々そのようなことができるように2種類のスパイクが付属している)、まだ10センチほどは低く感じる。
そこで置き場所に困っていた自作音響パネルの改造となった。スピーカー上部の音をリスニングポイントへうまく反射させれば、結果的に音像が高くならないかという目論見である。一旦元のパネルを解体し、紙パイプの半分ほどを釣り用テグスでスピーカー上部に吊ってみた。初めイメージしたのはスピーカーより少し前方への設置であったが、やってみると照明を遮り濃い影ができる。また照明に近いと燃える心配もある。ということで照明のやや奥、つまりスピーカーのほぼ真上となった。パイプの高さを波打たせてもみたが、単純に奥の方から徐々に高くなるよう傾斜させた方が好結果だった。音像は無事イメージする高さになってくれた。煎じ詰めれば、アクリか何かの板を斜めに吊れば良いのかとも思うが・・・。まあご愛敬。おまけ効果としては、高域の残響が長くなったというか、よく響くように感じる。

惚れる

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カンチレバー上部の曲面に惚れた。ゴールドリング社IM型カートリッジ “2100”のことである。ボディーの滑らかな質感がここに集約されている。スタイラスを掃除するためにヘッドシェルをトーンアームから取り外し、上下を逆さまにした状態で眺めるたびに見惚れるのである。そしてカンチレバー基部の黄金色が華を添えている。さらには、ヘッドのG文字表面は細い筋状にカットされ見る角度で表情を変える。こんなカートリッジが他にあるだろうか。
この美しいカートリッジから醸し出される音もまた素晴らしい。ロックのような激しい音楽には向かない。あくまでクラシック、それもオーケストラよりも四重奏団などの小編成やソロで魅力を発揮する。今聴いているグレン・グールドの「ゴールドベルク変奏曲」新盤(没年の前年1981年のデジタル録音盤)では一音一音の美しさを余すところなく伝えてくれる。13㎝小径コーンから低音の沈み込みや鉄線の震えが生々しく響く。一方でジャズにも見事に適応する。アート・ペッパーの名盤「ミーツ・ザ・リズムセクション」(音の良い盤として先達からお借りしたもの)ではアルトの素晴らしさはもちろんだが、ベースやドラムの音抜けがなんともいえず心地よい。スピーカーサイズが2倍・3倍になったように拡がりを感じるのだ。
ゴールドリング社は115年前の1906年創業という。作り続ける伝統の力に感謝と尊敬である。