夏の読書2021 (古寺巡礼編)

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数十年前からいつか読みたいと思っていた和辻哲郎著『古寺巡礼』が、10年ほど前に再版されていたことを最近知り、慌てて購入した。実はまだ読み終わっていない。この本を読み始めてすぐの頃、立ち寄った古本店で土門拳の『古寺を訪ねて』3冊(4冊で一揃い)を見つけた。1960年代〜70年代にかけて出版された『古寺巡礼』他の写真集に過去に発表された土門拳のエッセイを加えた文庫オリジナルの編集とある。和辻哲郎の文に出てくる寺や仏像がどのようなものかを土門拳の写真で見ているうちに、彼のエッセイに惹かれついついそちらを先に読み出したら止まらなくなってしまった。今2冊目を読み終えたところだ。土門拳といえば「絶対非演出」などの言葉とともに思い出されるのは、無口で頑固な写真家といったイメージ。だが、エッセイ中にはしばしばヒューマニティやユーモアが感じられて、ガイドブックとは違ったディテールの掘り下げが楽しい。優れた写真と相まって、実際に建物や仏像を観て触っているような気持ちになれる。

残りの1冊と読みかけの『古寺巡礼』を読み終えるころ、高野山室生寺などの名刹を訪れる環境になっていることを願う。