スピーカーが消えた!

 
2度目の金剛山。下山途中で白い花にとまる木の葉蝶の一種を見かけた。まるで枯れ葉と見分けがつかない。
今年12月で廃業が伝えられた「金剛バス」。これが見納めかも。

床上30センチほどに置き巨大ヘッドホンとして使っていたエレクトロ・ヴォイス PRO-12B。あまりの心地良さにダイヤトーン DS−500の位置と入れ替えた。

ケーブルはDS−500から引き継いだベルデン9497。少し音が硬いところがあるが、PRO-12Bの優しい音とうまくバランスした。(後で気づいたが、ウーファーのコーン紙が二重になっている!? 正面からは全面コルゲーションのついたカーブド・コーンが見えるが、マグネット側はフラットなストレート・コーン。それで少しだけ響きに滲み(表現が難しい)のような表情がつくのだろうか?)


なんだか骨董品の皿を並べているようで好きではないが、とても上手く鳴る驚きのレイアウト

心配した低音のハウリングは起こらず、音の拡がりがすごい。スピーカーが消えるというのは、こういう状態のことか?スピーカー間隔は1m余りだが、聴こえの音場は左右に50㎝〜1mほども広い。高さ方向はもちろん、音の前後感がシッカリとある。これは自分にとっては初めての体験。音が混濁してボワボワと鳴っているのではなく、ちゃんと楽器が定位している。5畳ほどの部屋全体がエンクロージャーになったといえばよいだろうか。なんだか、すごいことになってきた。

 

音の良さに気をよくして、最近入手したジャズの名盤を聴く。
1枚目は、チャーリー・パーカーが”チャーリー・チャン”名義でクレジットされている「ジャズ・アット・マッセイ・ホール」。ノイズは乗ってくるが、楽器音の鮮度が高く気持ちいい盤だ。ライナーノートに書かれている通り、ディジィー・ガレスピーがノリノリ。マックス・ローチが熱くなりすぎず、淡々とリズムを刻むのもかっこいい。
2枚目は、ずっと気になっていたが聴いたことがなかったアート・テイタムベン・ウェブスターの「The Tatum Group Masterpieces」。アート・テイタムが高速トリムの連続で圧倒する。対抗するかのようにテナー・サックスをゆったりとしたテンポで響き渡らせるベン・ウェブスターもすごい。ぐいぐい引き込まれる迫力。
果てしなきジャズの広野。どっちへ行ったらいいんだ!

 

<2023年10月29日追記>
気に入っていたDS-500だが、置き場所に困って結局は売却となった。エッジの軟化処理は買取価格にはあまり反映されなかったようだ。次は長く使ってくれる人のところへ行きますように。

S-X3II登場


サグラダ・ファミリアを連想させる姿が気に入ったサンスベリア・キリンドリカ
すっきりとした形だけでなく、空気清浄効果も高いそうだ

CS-X3を入手して以来、その2代目?であるS-X3が気になっていた。ハード・オフのこだわり検索条件に登録していたが、先日ひょっこりとお目見えした。外観は綺麗で価格も手頃だった。


左が初代CS-X3(1977年製)、右が2代目S-X3II(1979年/1982年製)

こうして並べると色の違いが際立つ。とはいえ形状や寸法は全く同じで、接続端子がマイナスネジである点や壁掛け用の受け金物なども同じだ。ただし、ネットで調べると出力音圧レベルに違いが見られる。CS-X3は80.5dB とまったくの低能率だが、S-X3IIは若干だが高い83.5dB 。さて音はというと、その能率の差が大きい。S-X3IIは立ち上がりが早く、カラッと陽気に音が拡がる。CS-X3はというと、音が重く少々暗い感じもするが、BGMで流すにはこちらが向いている。それぞれのコンディションが当初からどのように変わったかにもよるだろうが、まずはそんな印象。

先日までSB-F1があった位置に収まったS-X3II(SB-F1はダイニングへ移動)。慣らし運転にセルジオ・メンデス&ブラジル66「LOOK AROUND」、ソニー・ロリンズALFEE」、映画「マンハッタン」サントラのLPを次々と小音量で聴いた。音域は上下とも過不足ないと思われる。元々の音楽がそうなのだけれども、出てくる音が優しい。

続いて音の良いCDとして、先日手に入れもっと早く聞けばよかったと後悔しきりの、エディ・ヒギンズ・トリオ「BEWITCHED」を聴いた。ピアノがシッカリ沈んで、ベースのゴリゴリもよく聞き取れる。ツィーターのバランスがCS-X3よりも強めであったり、ボリュームを上げると中域が少しキツく感じられたり気になるところもあるが、全体的に大満足かつ今後に期待大。

 

<2023年10月29日追記>
これまで1年以上活躍してくれたCS-X3君。後輩と並べて使っていたがその音質差は埋め難く、売却することにした。1台は背面がデコボコで、塗装も以前の所有者によって塗り直してあるためか、スピーカーとしては扱ってもらえず”雑貨”扱いだった。

EV PRO-12Bは楽し


およそ2ヶ月ぶりとなった塩屋海岸。一投目からエサ取りがすごい。落ち着いて2本目を出すことができないほど。結局はエサ取りしか釣れず、陽射しがキツくなった10時過ぎに撤収した。

先日来、ユニット剥き出しで鳴らしているエレクトロ・ボイスの12インチ・フルレンジ PRO-12B。26年前のステレオサンド誌別冊に詳しく載っている。大柄なフレームと見た目の硬質さとは裏腹に、”落ち着いた滑らかな音”とある。概要の本文にも最後に”近接試聴でも耳当たりのいい品位の高い音が特徴だ。”と書かれている通りで、1mと離れず床に座り込み巨大なヘッドホンを頭に被っているような感じで聞いている。

本当に優しい音色だ。今はまっている『BLUE SKIES』をネットからさまざまな歌手のバージョンを探してDAC経由で聴いても、音がまろやかな為古いノイズだらけの音源でも気にならない。かといって曖昧な音ではなく、非常に明瞭に楽器や配置を描き分けている。

ボズ・スキャッグスR&B〜JAZZ路線のCDを続けて聴いた。1997年(53歳)「COME ON HOME」、2001年(57歳)「DIG」、2008年(64歳)「SPEAK LOW」(2003年「BUT BEAUTIFUL」は少し聴きすぎたのでパス)。少しずつ傾向は異なるが、どれもロックっぽさを感じさせないナンバーを、その時々の年齢に合ったボズの声が心地よくて、つい眠りに落ちてしまう・・・。

なんとなく鬱な朝


2鉢あるオーリーブの樹の一つに実がついた、それも3粒だけ。
少しずつ少しずつ大きくなっている。表面のプリッとした感じがいい。

夜よく眠れない日が続いている。暑さ・運動不足に加え、日常のゴタゴタも重なっている。こんな時はどんな音楽がいいのだろう。明るいギンギンのロックやシティー・ポップでは逆効果のような気がした。そして、大して多くもないレコードコレクションから選んだのは、ウィリー・ネルソン『スターダスト』。

収めてあるのはスローテンポで静かな、どちらかといえば寝る前に聴くアルバムかも。タイトル曲「スターダスト」、「我が心のジョージア」、「オール・オブ・ミー」、「サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー」などなど。曲名に覚えがなくても皆聞いたことのある曲ばかり。彼のさりげない歌い方が、疲れを癒してくれる。いずれも名曲・名演だが、A面3曲目の「ブルー・スカイ」がことのほか染みる。ライナーノーツには、”アメリカのシューベルト”と呼ばれているアーヴィング・バーリンの名作とある。調べると、この方は大変な苦労をされたようだ。1881年ロシア帝国ユダヤ教徒の一家に生まれ、5歳でアメリカへ移住。その後3年で父が死去。靴磨きなどをして暮らし、その後カフェの専属歌手から作曲を始め、いつしかアメリカを代表する作曲家として映画音楽やミュージカルを数多く手がけ、100歳の長寿を全うされたそうだ。(詳しくはWikipedia等で。アーヴィング・バーリン - Wikipedia

しばし時間を置いて少し調子が出てきたところで、御大”サッチモ”ルイ・アーム・ストロングのベスト盤。円熟というか老境に差し掛かった50年代(50歳代)の名演奏がずらりと揃っている。トランペットの名手であり、かつ名歌手でもある彼のどちらかというと、声に惹かれる。けれどこのLP盤は、「すべて」とタイトルに謳っている通りトランペットの名演奏も聴き逃せない。

そして最後は、『エラ・アンド・ルイ』。こちら超大名盤であるが、アルバムとして聞くのは初めて。これまで中古ショップでもLP・CDいずれもしばしば目にしており、いつでも手に入ると思っていた。ところが、”中古あるある”というか、いざ入手しようと思うと中々ない。先日たまたま買取をお願いしようと初めて訪れた古書店に置いてあり、ようやく手に入った。
収録されている曲はどれも、勿論文句なしに楽しめる。中でも6曲目「テンダリー」最後のエラによるスキャットの大迫力には驚かされた。

まだまだ一日中30度前後の日が続くらしい。こんな名演奏・名歌唱を聞いてやり過ごすしかない。

大型フルレンジにチャレンジ!


遂に禁断の領域に踏み込んでしまうのか。30㎝径同軸2ウェイ、エレクトロ・ボイスPRO-12B(手前)。

今年に入ってフルレンジ・ユニットを2組購入した。一つは、フォステクスFE164。昔からダブルコーンの姿に憧れていた。もう一つは、エレクトロ・ボイス205−8A。PA用らしいが、その分ヴォーカルものに向いている気がした。どう使おうか思案しているうちに、愛犬の調子が悪くなってきたため、スピーカー製作に手をつけずそのままとなっていた。原因不明のまま衰弱した愛犬は5月に空へ旅立ってしまった。回復しつつあった時期に急変し、あっという間に息を引き取った。

しばらく色々なことが中途半端なままだったが、気を取り直して少しづつやっている。前述の2種類を一枚の板に取付けて平面バッフル形式にしようと決め作業を開始。ホームセンターで売っている組立式ラックを転用。バッフル面と裏面(重量のバランスを取るため)のみ板があり、周囲はとりあえずオープンで計画。そう思っているうちに月日は経ち、ようやくユニットの位置を決め、開口の線を板に書き込んだところで、ネット上にPRO-12Bを発見。どうにか小遣いで手の届く価格に後先考えずポチッ。ところが、届いた実物を見てしばし呆然。30センチ・ユニットは想像以上にデカく重い!これでは平面バッフル形式にするとしても設置場所が見つからない。といって飾っておくだけも寂しいし・・・。一度鳴らしてみようと、ユニット剥き出しで直結した。


何年製造のものかはわからないが、おそらく20年以上は経っているだろう。
傷・汚れがほとんどなく、スポンジの劣化も見られない非常に綺麗なユニット。

自重5.5キロは伊達ではなく、ユニットは大きめのフレームを支点にしてどっかと座るではないか。ネット上の情報を元に頭の中では勝手なイメージができてしまっている。さて実際に音出ししたら・・・。
すごい!なんじゃこりゃ。小音量にも関わらず狭いリスニングルーム(約5畳の洋室)がコンサートホールに変わった。最初に聴いたのは、ボズ・スキャッグスのライブCD『GREATEST HITS LIVE(2004年)』。もちろん低域はそれほど出ていないのだが、包み込むような、それでいてカラッとして朗々とした音色は、まさしくライブ会場のPAの音だ。能率が高く(97.5dB/W/m)、スピード感があり、とても聞きやすい。高域はどことなくスカした感じもするが、ボズのファルセットをしっかりと伝えてくれる。軽量コーンということだが全面にわたるコルゲーションが効いているのか、そこそこ力強さも感じる。続けて、ダイアナ・クラールのライブCD『LIVE IN PARIS』を聴く。彼女の声が本当にリアルでのけぞる。バックの楽器もこのままで十分ではないかと思わせるほどに、楽器の位置や音が明瞭に聞き分けられる。当面は、転倒防止のフレームを取付けて使うことにしよう。

これをきちんと大型の平面バッフルやバスレフ・ボックスにセットしたら、一体どんなすごい音がするだろうと考えると、興奮を抑えられない。そのためには前々から考えているリフォームを実行して、部屋の広さを確保することから始めなければ。