カセットが帰ってきた


紫陽花の花が咲き始めた。そして、我が家にカセットのある生活が戻ってきた。
断捨離の一環で、使わなくなった諸々をリサイクルショップへ持っていこうと思い、何気なくハードオフのHPを開いた。オーディオ関連中古品のトップにカセットデッキが出ていた。よく見ると非常に綺麗で、しかも価格が8千円台とお手頃。80年代の製品らしいが、今開梱したばかりのように傷ひとつない。3ヶ月の保証までついている。送料と合わせて1万円ちょっとは、万一動かなくても諦めのつくラインだ。思わずポチッと。
待つこと数日。届きました。大量の緩衝材入りで無事届きました。HPで見たよりもさらに綺麗な状態に驚く。端子類が少し劣化しているが、ほぼ新品同様。どのような使用状態で、またどういった経緯で市場に出てきたのか、少し興味が湧く。真っ黒で精悍な、オーディオ全盛期の面構えである。本体のみでリモコンも取説もないが、問題は正常に動作するかどんな音がするか。


父が遺したテープを恐る恐るかけてみる。レベルメーターが動き出し、音が出てきた。おお、聴ける。それもしっかりした音が出ている。やった!父が好きだった西部劇映画のサウンドトラック、ビッグバンドなどを次々にかける。全て大丈夫のようだ。40年以上前のテープは、特に伸びていることもなくちゃんと聴ける。なんだかタイムスリップしたようだ。

使い始めてすぐは、かつて当たり前に行っていた諸々の手順が思い出せなかった。モニター接続の使い方に始まり、ドルビーの選択、バイアス調整、リバースの使い方等々。録音を試していて初め気づかなかったのは、テープ両端にはガイド部分があり録音できないこと。そういえば、録音前に鉛筆を差し込んで数回くるくると巻き取っていたなあ。
そういったことを思い出しながら、昔のようにLPの音を録音して、手軽に聴いてみるのもいいなと思う。そのうち、ウォークマンが欲しくなったりして・・・。