初めてのMC

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赤いカートリッジに赤いシェル。還暦を迎えた年にやって来たMCQ5。
スクウェアなボディの下面とレコード盤面の間隔は1㎜ほど。初めは盤面を傷つけないかヒヤヒヤもの。

これまで高い壁として立ちはだかっていたMCカートリッジへの見えないハザードは、あっけなく取り払われた。先日発売になった季刊誌『analog』73号にオルトフォンのMCカートリッジMCQ5と、同じくオルトフォンのヘッドシェルSH−4Rをセットにした限定販売品の記事が載っていた。レポーターはスピーカー自作派ということもありシンパシーを感じる炭山アキラ先生。シリーズ中のスタンダードつまり最廉価版だが、記事にある「クラシックは大スケールで艶やか、音数が多く「これぞMC!」という表現を聴かせてくれる。」に強く惹かれた。しかし、会社帰りにのぞいたヨドバシで売切れですと言われ、諦めざるを得なかった。それから数日経った昨日、ヨドバシで目当てのものを買った後に寄ったオーディオコーナーで一つの箱が目に止まった。オルトフォンのパッケージの中で一つだけシェル付カートリッジの写真が貼ってある。これは!やっぱりそうだ、先日無いと言われた限定販売のセットだ。これは買いなさいという天啓とばかりに、即断で購入した。
さて、朝からカートリッジの交換。プレーヤー新調後10ヶ月で3つ目のカートリッジ購入は少しオーバーペースかも。まあ、いいか。すでに付け根から針先まで52mmにセットしてあるので、バランスをとって適正針圧をかけるだけ。ここでもオルトフォンのデジタル針圧計のおかげで100分の1g単位で正確に調整できる。推奨の2.30gにセット。
最初は、知り合いから借りたままになっている超美音盤、アート・ペッパーの『ミーツ・ザ・リズムセクション』をかける。なるほど、音数が多い。アート・ペッパーの細かい息遣いが聴き取れる。低音の迫力の点では、少しの差だがこれまでのゴールドリング2100に分があるようだ。次に、ダイアナ・クラールの最近作『THIS DREAM OF YOU』1枚目A面を聴く。ノイズの少なさがはっきりとわかる。彼女のハスキーな声のニュアンスがよく伝わってくる。そして、ここでようやく本命のクラシック、シャルル・ミュンシュ指揮、パリ管によるベルオリーズ『幻想交響曲』。音量を控えめで聴いたが、これまでのMMと比べ音数が多いことが本当によくわかる。ピアニッシモでの弦楽器の音色もよく聴き取れる。ここでもバックノイズが少ないメリットを感じた。夜クラシックを聴くのはこれ(MC)に限る。しばらくは、MMに戻すことはないだろうな。

<2021年11月15日追記>
このQ5君、意外とすんなり鳴ってくれないようだ。というか、音楽を選ぶようなのである。JAZZにはバッチリとフィットする。ケニー・バレルの『Tender Gender』はメリハリ強めでしっかりと鳴ってくれる。それにもかかわらず、ビリー・ジョエルの『The Nylon Curtain』はさっぱり迫力がない!「Goodnight Saigon」のヘリの音もスカスカだった。盤は綺麗なはずだ。しかもこれまで付けていたGOLDRINGではMMでしっかり鳴っていた。他のJAZZ系、ROCK系を聴き比べたが、概ね同じ傾向になるのは何故だろう。もっと勉強、研究しなくては。