才能のぶつかり合い

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ヴァイオリン協奏曲の中でも最高の3曲に入ると言われるベートーヴェンの曲を、ヴァイオリン独奏ギドン・クレーメル、アーノン・クール指揮によるヨーロッパ室内管弦楽団演奏のCDで聴いた。
ベートーヴェンイヤーの今年、本来なら彼の曲を演奏するコンサートが世界中で多く開催されるはずだった。しかし新型コロナ禍により多くがキャンセルされた。少しでもベートーヴェンイヤーに浸りたく、背伸びして色々なCDを購入している。とはいえ好みの曲を異なる演奏者で揃えている程度だが。そんな中、タワーレコードのチョイスCDを3枚買うと20%引きというのにつられ物色していて上記のCDを手に入れた。世の評判は音友ブック『名曲名盤300』他で見知ってはいたが、これは確かに”個性派巨頭”の対決に違いない。これまで聴いた他の演奏では、曲の美しさに聞き惚れることが多かった。ところが本演奏はとても個性的で、知らず知らずそちらに注意が向いている。思わず、数年前のコパチンスカヤ独奏によるチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を思い出した。中でも、本当の即興ではないだろうが、カデンツァが生々しいことこの上ない。それでいて説得力があり、滲みてくる。ますますこの協奏曲が好きになった。