ポリーニ最新の32番を聴く

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手前が2019年録音を収めた最新版(輸入版)、奥は1977年録音32番が入った2枚組CD。

週末の外出自粛もしんどい。夕方気分転換を兼ねて”りずむぼっくす”へ出掛けた。店頭のバーゲンレコードを一通り掘り尽くし、お決まりのクラシックCDバーゲンコーナーへ。新着の箱に見たことのないパッケージのポリーニ演奏ベートーヴェンピアノソナタ32番が。んっ?数十年ぶりにポリーニベートーヴェンピアノソナタ全曲の再録音を開始したというのはこれだ。発売年はなんと2020年。輸入盤とはいえ千円ちょっとで入手できるとはラッキー!

家に帰りさっそく聴く。名曲が多いベートーヴェンピアノソナタにあって、特に32番は好きな曲だ。数年前、M.J.ピリスが演奏する同曲をコンサートホールの2列目で聴く機会があった。確かな演奏技術と円熟味に溢れ、それでいて軽やかな演奏に魅了されたのだ。それ以来著名な演奏家の同曲LP/CDをいくつか集め、聴き比べて楽しんでいる。その中でポリーニの演奏が一番好きである。(ピリス演奏はCD未発売?)
さて、新録音はいかに。まずは音があまりにクリアなのに驚く。音がキラキラしていて少し落ち着かないほどだ。それでも演奏は、さすが御大ポリーニ77歳の集大成。タッチが旧録音に比べてわずかに滑らかというか、ほんの一瞬鍵盤に触れた間があって音が響きだすように感じる。年齢的な筋力の衰えから来るものではなく、タッチコントロールが円熟によりさらに進化しているのではないか。聴いていると曲に身も心も吸い込まれるようだ。