26時間

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26時間。これは中国無錫から自宅までの所要時間である。現地の午後1時(日本時間午後2時)頃職場を出発。豪雨を伴う悪天候の中、フライトは出発時点で30分ほど遅れた。目的地の関西空港にはどうにか2時間半ほどで近づいた。日本も折からの最悪の天候。着陸を2回試みるも、いずれも断念し再上昇。確かに天候は悪い。最初の試みから40分ほど経った頃、機長から成田に向かうとのアナウンス。おーー、最悪。明日からのスケジュールがすべてご破算になる。行き帰りを含めて4日しかないというのに。
そして成田空港に到着したのが夜9時。しかし機内で今後の事が決まるまで待機。降りたのは夜9時半。ここからまだまだ試練は続く。入国手続きを終え、遅延に伴う手続きに30分ほど。それから2キロほどしか離れていないホテルへ向かうバスを待つこと何と1時間半。途中でタクシーを利用しようとするが捕まらない。結局バスに乗り、ホテルについたのが夜11時半。レストランも何もない。ホテル内のコンビニでビールとビーフンと朝食用サンドイッチを買う。シャワーを浴びてホッとしたのは12時過ぎ。眠いが頭が冴えて眠れない。テレビを観ているうちに就寝。
翌朝疲れがあるが年のせいで5時には目が覚める。もう一度寝ようとするが眠れない。一度入国審査を終えているが、機材が中国の航空会社のため再度出国手続きが必要となり、2時間前にはチェックインしてほしいとの事。8時40分発送迎バスで再び成田空港へ。速やかに手続きを終えてロビーで待つ事1時間半。11時前、同じ機材とクルーで関西空港へ。今度はちゃんと降りてよと祈る気持ち。しかし今日も同じような悪天候。雲の合間に見える紀伊半島の河口付近は濁った土色の水が流れ出し、川はどこも氾濫寸前に見える。通常のルートではないと思われるルートで雲の少ない箇所・高度を選びながら蛇行している。アナウンスのあった時間を20分ほど過ぎて高度を急激に下げ海面が近づいてきた。今度はそのまま降りてくれ。しかし前方の視界はほとんどない。海面が急接近。滑走路の端が見えた。やった、このまま着地してくれ。ドんという強い衝撃とそれに続く逆噴射音。おお、やっと、やっと関空。12時30分をまわっている。
しかし、ここで終わらない。再度の入国手続きを終え、しばらく待って荷物を受け取り、ようやく空港の外へ。ところが、ところがである。自宅最寄りの場所へ向かうバスの出発まで1時間以上待たなくてはならない。あーーーーーー。タクシーを考え尋ねてみると2万円近くかかるとのこと。いくらなんでもその金額は・・・。じっと待つ。ひたすら待つ。そしてバスに乗る。ここで午後2時15分。少し遅れて目的地に到着。そこでも試練が。折からの豪雨で鉄道は乱れ、道路は渋滞。タクシー乗り場には50人近く並んでいる。もう待つ気力はない。家に電話をし、家へ向かって歩くので拾ってくれるように頼む。大粒の雨の中、ガラガラとスーツケースを曳きながら歩く事10分ほど。我が家の車を発見。この時ばかりは家内の顔が輝いて見えた。帰宅したのは午後4時過ぎ。延べ26時間以上。ヨーロッパから帰るよりもはるかに長い。

この長丁場の中で気を紛らわす事が出来たのは、一つはラインによる家族や友人との会話。苛立が和らぐ。もう一つは、iPhoneを使って音楽を聴く事。時間はいやというほどあったので、いろいろな曲を聴いた。その中で気付いたのは、クイーンの曲はこんなときも最高だという事。彼らの響きのあるアコースティックさを残した楽音。フレディの物悲しさを漂わせながらも力強い声。決して騒ぎすぎず、暗くもなく、淡々とした中に励ましを感じられる曲たち。『Who needs you』。I need Queen, your songs!