フリー・スタイルで聴く


数年ぶりに出かけた中古レコード・フェアで購入したLP達。ジャクソン・ブラウン・ファースト(US盤)は少し高かったが思い切って。時間をかけて聴き込むつもり。

30センチ径メカニカル・フルレンジ・ユニットの音を聴いて、いろんな音を聴きたい病が再発してしまった。限られたスペースの我がオーディオ部屋でどうすればいくつもユニットを聴き比べられるか考えた末、あるものはユニット剥き出しで置くだけ(E.V. PRO12B)にした。今度は2種類のフルレンジ・ユニットを一つのバッフルに取付け、一つをLEFTもう一つをRIGHTで使用するという思いつきを実行してみた。

 

左の16センチ径ダブル・コーンはフォステクスのFE164で30年前の発売。右の10センチ径フルレンジはエレクトロ・ヴォイスの205-8A。どちらも能率が高く、メリハリのある中域の音色に特徴がある。特にPA用に作られた205-8Aから聞こえてくる声は強烈な浸透力がある。バッフルを正面に向けるとキツくて長時間聴いていられない。後方にかましものをして持ち上げ傾斜をつけることで、直接音が少なくなり程よい音圧で聞こえる。ユニット背面からの音が反射して僅かに遅れて耳に届くのも広がりが出ていい感じだ。これらをトーン・コントロールとバランスで調整して聴くと時に絶妙な再生となる。特にライブ盤はステレオ感が少ないことがあまり気にならず、それよりも臨場感が増すようで大変楽しい。どれも古い録音のものばかりだ。まだ若かった彼等の音楽がなおさら若々しく響く。

来年2月、30数年ぶりに彼のコンサートに行く。予約をした8月から古いLPやCDを引っ張り出して聴いたり、90年代以降のものを買い足したり、そわそわ・ワクワクである。

<2024年3月24日追記>
ザアザア、しとしと、と本当に今年の春は雨がよく降る。もう1ヶ月ほど前になるが、ボズのコンサートに行ってきた。始めチョロチョロ、中パッパ、観客年齢層が概ね60歳以上ということでゆっくりと盛り上がる。終盤は自分含め多勢が立ち上がっていた。最後はアンコール4曲(5曲だったかな?)もやってくれ大満足。休憩なしで2時間余りがあっという間だった。ボズ・スキャッグスは80歳と思えない声量で(高音は辛そうだったけど)歌い、ずっと立ったままでギターも弾いていた。最後は、疲れたよ帰って一杯やって寝ようよ、とジェスチャーをしていたものの恐るべき体力。やっぱりスーパースターだった。

遠いシンプル・ライフ

最近考えを改めようとしている。オーディオにお金と労力をかけすぎではないかと。収入に比べて高額な機器を買い、また更に手に入れようと物色している。だが、そんなに音が変わったのか、違いがわかっているのか。ソフトにも同様のことが言える。数年前なら、1枚で数千円する中古のLP・CDを欲しくなったら、しばらくどうしようか悩んで決めていた。それが今では、ネットで見つけたら数分後には精算まで終えている。歯止めが掛けられなくなっている。と、まあ自分でどうにかするしかないのだけれども。

そんな中、最近ポチッとしたダイアトーンのレシーバーDA-R320。数年前からレシーバーが欲しくて仕方なかった。サンスイ7などの美しいイルミネーションに憧れていた。けれど可動品は滅多に手頃な価格では見つからず、オークションもなんだか怖くてできなかった。数ヶ月前ネット販売で1万円台半ばの本機を見つけた瞬間、購入ボタンを押していた。サイトの写真では完全に灯っていたイルミネーションは届いた時から右側が暗い。けれど補償は返金対応だけなので連絡しないことにした。

寝室に置き、寝る前1時間ほどと、起きがけの身支度をする間毎日FM放送を聞いている。チューニング・ダイヤルを回すとき適度な重量感があり、長いスケールで微妙な調整をするのも楽しい。アンテナ替わりに廉価なスピーカーケーブルをY字に張っただけでもかなりクリアに受信できる。ボンネットを開けて中を覗いたことはないが、10キロ近い重さは大きなトランスのせいではなかろうか。帯域は広くないが全体にキレがあり、爽やかな音といえば良いだろうか。

こんなことがあるから、ポチッとするのがやめられないのだろうが。

シュアーV15TypeⅣでお勉強


オーディオ道の先輩方ならすぐに見破られるであろう変な姿。M95EDボディにV15TypeⅣのスタイラス

シュアーの名作カートリッジV15TypeⅢの後継機種として発売されたV15TypeⅣ。M95EDよりも先に購入していたものの、取付けに丁度良いシェルやビスが手元になく数ヶ月置いたままになっていた。中古ではあるが、元のケースに入った3ヶ月の保証がついた美品。それで安心しすぎたのが失敗の元となった。

最初取り付けようとしたのはナガオカ製の軽量シェル。付属のアルミ板をスリットに差し込んで使おうとしたが、切ってあるねじがミリねじではないため手元のビスが使えない。やむなくパッケージ内に使ってあるエボナイト?の先端だけねじがきってあるビスを使ったのでこんな形になった。

シェル側の孔が長穴のためスルスル滑りなかなか固定できない。何度かトライして、ようやく固定が完了。ところが、ここでまた問題発生。軽量カートリッジに軽量シェル、おまけにビスまで樹脂製では軽すぎてアームのバランスが取れない。以前GRADOのカートリッジを使っていた時に、それで困ったのをすっかり忘れていた。バランスを取るため、使っていないGRADOに付けてあった自重15gのオルトフォン製シェルを転用する。すると通常のビス径だとカートリッジのボディに干渉して真っ直ぐ通せない。一組だけあった細径の短いビスがなんとか使えた。それが下の姿。なかなか決まっている。ここまでの所要時間はおよそ3時間。疲れを吹き飛ばしてくれる音を期待してレコードに針を落とす。

あれっ、なんかおかしいぞ。確にレンジの広い、ダンピングの効いた小気味良い音がしているのだが、音がやけに左側に偏っている。バランスつまみで確認する。やはり右の音がほとんど出ていない。右側は通常のボリューム位置では蚊の鳴く音量だが、ボリュームを上げると音はそれなり。ただ、バランスがおかしいようだ。

ここからまた、難行苦行が始まった。アーム側の接点を磨き、リード線の両側端子を磨き、果ては試供品で手にしていたアンダンテ・ラルゴのSuper TMDスタイラスの差し込み部分に塗布した。各作業が終わる度にチェックするが、改善せず。困った〜、というかシマッタ〜!保証期間3ヶ月を過ぎている。これじゃ、お金を捨てたも同然になる。思案した果てに、冒頭の写真の状態で試してみた。するとM95にちょうど収まり、かつ左右バランス良くなるではないか。M95はTypeⅢの廉価版という事だが、TypeⅣとも互換性があるようだ。音は元のED針より数段グレードアップした感じになる。そうは言っても、これではED針がかわいそうではないかとも思う。そこで現状は、下の写真のように一旦諦めた軽量シェルに先の細径で短いビスを使用。ビスの重量が少しアップしたのでギリギリ使えた。

モノラル盤に使って音色を楽しんでいるTypeⅣ。カッコいいのに、ステレオ盤を聴けないとは・・・トホホ。今回は大変疲れたけれども勉強になった、と無理に納得しようしたがそんなにすぐに納得できない。針折れのリーズナブルな個体が出てこないか、またまたネット掘りに精を出している。

 

「no reason to cry」に夢中


最近入手したM95ED。M95HEより明るく、元気が感じられる。ただし、低域は少し出が渋い。慣らし不足?

エリック・クラプトンのソロ・アルバム4作目。一見どうってことのないジャケット、けれど濃淡のある濃いブルーが印象的で、赤ら顔のクラプトンもまだ若い。ボブ・ディランロン・ウッドザ・バンドのメンバーらを招いて制作された。

こちらがジャッケットの裏面。フォントの異なる文字がごちゃごちゃと並んでいると思っていたが、持ち帰ってよく見ると、全て曲名だった。なんだか製作者の余裕を感じるなあ。お見事です!

さて肝心の曲はというと、文句なく全曲素晴らしい。若い頃のアルバムでは一番だ。
夢うつつといった気分で始まるA面1曲目『Beautiful Thing』は、クラプトンの回りをエンジェルたちがささやきながら舞っているようだ。続く『Carnival』はノリノリ。曲の始まりでクラプトンが「オイっ!」と言っているようで笑ってしまう。”Come with me”のフレーズを繰り返すだけで幸せな気分になれる。3曲目『Sign Language』は、ボブ・ディランの作曲。イントロの”ジャーン”がカッコいいし、二人のデュエットがほのぼのとして楽しめる。4曲目『Country Jail Blues』はメジャー・メルリ・ウェザーという方の曲で、これ留置所の話らしく渋いのだが、ギターとベースそしてキーボードの絡みがよろしい。A面最後の5曲目『All Our Past Times』はクラプトンとリック・ダンコの共作。ボーカルの渋い声がとてもいいのだが、リック・ダンコだろうか?
そしてB面1曲目『Hello Old Friends』はこのアルバムでは唯一のヒット曲とのこと。バックの女性ボーカルがソロ2作目「461 Ocean Boulevard」に入っている『I Shot The Sheriff』を彷彿とさせる。2曲目『Double Trouble』は重苦しい歩みで始まる。クラプトンの声も悲痛だ。一体どんなトラブルを抱えてるんだい。3曲目『Innocent Times』バック・シンガーのマーシー・レヴィが自作(共作)の曲を熱唱。4曲目『Hungry』も彼女のボーカルが際立つノリのいい曲。”Hungry♪, I'm hungry♪, I'm hungry♫”の連呼がお気に入り。最後5曲目『Black Summer Rain』は、夏の喧騒が土砂降り雨ですっかり洗い流されたといった気分だろうか。クラプトンがエンジェル達のコーラスをバックに訥々と歌い、静かに終わる。

すっかり気に入ってしまったアルバム「no reason to cry」はカセットテープにダビング(懐かしい響き)し、通勤時間や昼休みに繰り返し聴いている。

クラプトンのスタジオ録音ソロ・アルバムに限ると、手元にないのは1作目「エリック・クラプトン」、80年代の「ビハインド・ザ・サン」と「オーガスト」の3枚となる。初めてのコンプリートを目指してみようか。できればネットではなく、実店舗で手に入れたい。

またもボウズ、そしてトホホの〆

朝からカラッとした空気と暖かさにつられて須磨海岸へ。短い竿1本とタックルケース一つで、落ちキス狙い。始めた頃は風がほとんどなく波も立たない好条件。こんな時はありがちだが、餌取りが多く持ち帰りたくなる魚種は釣れない。釣れたのはベラ、フグ、コブの赤ちゃん。周囲ではカワハギ狙いで15センチくらいのを数匹程度。アジの生き餌で大物狙いの常連さんの話では、昨日60センチ台の鯛を揚げた人がいたが今日は全くダメだとのこと。11時前には風が強くなり撤収した。


おだやかな海と空に不思議な形の雲

腹が減ってきたので”ふうりん”に寄って「ふうりんラーメン」を食べた。久しぶりということもあり、出汁と醤油のコクがたっぷりのスープが胃に沁みた。

そのまま帰るはずもなく、いつもの”りずむぼっくす芦屋店”へ。時間がいくらでもある時は逆に決めづらい。と思いつつ、LP3枚、CD3枚を買った。LPのうちの1枚は、エリック・クラプトンの”no reason to cry”。CDで見かけたことがなく、諦めていたが出会うことができた。しかもアナログ・ディスクが手頃価格とはラッキー。クラプトンがボブ・ディランザ・バンドなどと行ったライブ作ったアルバムなので、改めてゆっくり聴こうと思う。そしてCDは、ニーナ・シモンの”LIVE IN TOWN HALL”と、レイ・チャールズの伝記映画”Ray”のサントラ。昼寝の後で2枚を聴いたが、どちらも持ち味が溢れるサウンドと歌で大満足。そして、マイルズの”COOKIN'”は痛恨の2枚目買い。最近多い、このパターン。LPを探していたのだった・・・。元々持っていたのが輸入盤で今回は国内盤というのがせめてもの救い。