『オーディオ巡礼』を読む

f:id:hinoikelife:20180922211155j:plain
五味康祐(ごみやすすけ)氏のエッセイ集3冊めは、ステレオサウンド誌上で1966年から1979年の間に掲載された「オーディオ巡礼」である。かろうじてお亡くなりになる直前のものはオンタイムで読んでいたと思われるが、今回初めて目にしたと同じであろう。それにしても前の2冊にも増して辛辣なというか、思い切った内容ばかりである。オーディオを語りながらご自身の人生をたどるその文章は、まるで読者の身も斬られるようである。ここまで赤裸々にする必要があったのかとも思う。
繰り返し繰り返し、自身の貧しかった頃に本物の音楽を聴く為に、そのオーディオ装置を手に入れる為に立ち直ったことが述べられている。そこまでの音楽に対する理解や情熱が羨ましい。自分のポンコツな脳がうらめしい。もっと音楽に感動したい。

f:id:hinoikelife:20180923103719j:plain
狭いベランダに咲くペチュニアの花一つにもこれだけの表情がある