好奇心

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狭いバルコニーに春がやってきた。小さな花かんざしが咲き揃い目を楽しませてくれる

少し前に京阪森小路駅近くの古書店キーツ・アンド・カンパニーで買った3冊のジャズ本のうち2冊め安原顯(自称天才ヤスケン)著『上野桜木ジャズ日記』をようやく読み終えた。紹介されるジャズ奏者の名前はほとんど初見のものばかり。しかし、文中に度々登場する寺島靖国氏との会話やオーディオ絡みの話が面白く、一応読み通した。

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それにしても、著者61歳前後でのエッセイが載っているのだが、そのネタとなっている多(乱)読・多(乱)聴、さらに展覧会やコンサート、そして人と会う回数の多さには圧倒される。帯に書かれた問いかけには自信を持って「ノー」である。どこからくるのかこのパワー。文学界やジャズ界の才能ある新人を発掘することに生きがいを感じているように書かれているが、先ず(できれば他者に先んじて)知りたいという欲求が誰よりも強かった人のようだ。そのために買いまくり、読みまた聴きまくっていたのだと思うが、本はともかく音楽はどうしていたのだろう。飛ばしながら少しずつ聴いて、本当に良さが分かるのだろうか?まさか早送りで聞き取ることもできないだろうに。

好奇心という点では、ヤスケンの足元にも及ばないが、尽きることはないようだ。先日もアナロクプレーヤーのカートリッジを取り替え、その音の変化に嬉しくなり、ついに上級クラスのプレーヤーに手を出してしまった。定価でこれまでの10倍近くもする新しいプレーヤーから取り出されてくる音は、当たり前だが、別次元である。ノイズフロアはほとんど聞き分けられないレベルに下がり、低音が地の底からスーと湧き上がるようである。音数も何倍にも多くなったようだ。これまで聞くに耐えないと思っていた中古LP達が生き返ったように音楽を聴かせてくれる。また手放すことが難しくなった。それどころか、ここ2週間ほどで30枚近くも増やしてしまった。