上海タワー考

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上海中心(通称上海タワー)は、2016年3月12日に完成した高さ632mの現在中国で最も高い建物である。工事中にしばしば目にしていたが、完成したのを見るのは初めてだ。今日は珍しく雲がうっすらかかる程度の良い天気だったので、夕方出張先の事務所から地下鉄で出かけてみた。高層建物好きは学生時代からだが、なぜかこの建物は特に惹かれる。ねじれたフォルム、全面を覆うガラス、それらが心に刺さる何かを持っている。そして完成された姿を目の当たりにして、ようやく分かった。そのモチーフが。これは人間の脚である。それも少し凹脚気味だが、スラッと伸び、筋肉が引き締まった若者の。もしかすると設計者は、となりで寝ている彼女の脚を見て閃いたのではないか。

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そして、この表面のテクスチャー、甲虫類のキチン質のようにギラついた張りのある光沢。これが好きになる理由だ。整然と配置された一枚一枚のガラスが魚の鱗のようでもある。今回中に入る事は出来なかったが、いつかこのダブルスキンの中に入ってみたい。むせ返るような埃っぽい匂いと共に、何か魔力のような力を感じる事が出来る気がする。