二度目の幻想交響曲

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佐渡裕芸術監督指揮、PACオケとシルバ・オクテットのコラボによるベルリオーズ作曲・幻想交響曲を聴いた。2年ほど前にダニエル・ハーディング指揮、PACオケで同曲を初めて聴いた時、この曲の持つ迫力に圧倒されたのがつい最近の事のように思い出される。
今回の定期公演では、前半にパリ管をはじめフランスの名だたるオーケストラのメンバーで結成されたシルバ・オクテットおよびミュージカル歌手のイザベル・ジョルジュ、そしてPACオケも一緒になってのイディッシュ音楽を聴いた。全員が当初からのメンバーではなかろうが、非常に息のあった演奏でノリノリの気分になった。特にイザベル・ジョルジュのスマイルは、素晴らしく鍛えられた肉体と声にも劣らず魅力的だった。
その後の幻想交響曲。イザベルとピアノ以外のメンバーはそのままオーケストラメンバーとして加わった。弦はいずれも首席につく。コンマスを務めたシルバ・オクテット芸術監督のリシャール・シュムクレール(パリ管)はもとより、コントラバスのベルナール・カゾラン(元パリ管首席)やクラリネットのフィリップ・ベロー(パリ管ソロ首席)などそうそうたる顔ぶれ。その中で一番気に入ったのはヴィオラのグレゴワール・ヴェッキオーニ(パリ国立歌劇場管弦楽)。オクテットの中で一番若く(多分)イケメンなのだが、何よりもその楽器の音が響くのである。前半はマイクを通してなのでミキシングのせいかとも思ったが、後半でもやはり目立つ。よほどの銘器か腕前か。バイオリンでもチェロでもない独特の響きを初めて実感した気がする。
肝心の曲は、佐渡さんの巧みな指揮でよどみなく、美しいメロディーの連続。途中数回ウトウトしてしまった。これは名演の証明というのは言い訳で、今日は初めからとても眠かったのだ。それでも第4楽章後半からは座り直して、ちゃんと聴いた。今日の鐘の音は少し控えめだった。そのかわり管の迫力がものすごい。つられるように弦も盛り上がる。最後は音のうねりに飲み込まれた感じであった。最後の方でヴィオラとチェロが不思議な弾き方をしていた。弓を傾けて弦と当たっているような当たっていないような、脳に麻酔を打たれたような感じというか、まさしく幻想的な響きだった。
クラシック初心者は、いつも初めての体験ばかり。楽しみは尽きない。