ヨアケマエ

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私の愛すべきスピーカー・SM10Zを製作しているファンダメンタルの社長である鈴木さんの曲に「ヨアケマエ」というのがある。デュオが奏でる心高まるギターの調べに合わせて朝日が昇る。というのは近所迷惑になるのでちょっと無理だが、陽の出がとても美しかった。寒さが厳しくなり朝起きるのは辛いのだが、寄る年波で6時前には目が覚める。週末と知ってか愛犬も起こしに来る。リビングに出てみると、東の空がうっすらすみれ色に染まっている。急いでカメラを取りバルコニーに出た。寒い!が、そんなことは言っていられない。今朝は細かく波打ったヒダの一つ一つに浮かぶグラデーションが美しい。何枚か撮っているうちにふと白黒でと思い、写したのが上の写真。色がなくても、というより色が無いからこそ、感じることの出来るものがある。

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顔を出した太陽を数枚収め、早々に室内へ撤収した。

二度目のハーンとドイツ・カンマーフィル

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兵庫県立芸術文化センター大ホール前ホワイエ(芸文HPより)

昨日午後、芸文にて行なわれたパーヴォ・ヤルヴィ指揮によるドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団ヒラリー・ハーンの演奏会に出かけた。今年最後の演奏会、それもレコーディングも含め世界的に活躍する指揮者とオケ。そして2度目のヒラリー・ハーン。とても楽しみにしていた。
1曲目の「ドン・ジョバンニ」序曲は、正直よくわからないまま終わってしまった。ならし運転といったところか。
2曲目モーツァルトのヴァイオリン協奏曲5番で、待ちに待ったハーンが真っ赤なドレスを纏って登場。今回はメガネをかけてないこともあり、音色の美しさと共に華やかさが感じられた。相変わらずの正確無比な弓運び。どうやれば、あんなに体を動かしながら弓を楽器に直角に当て続けられるのだろう。それに合わせた訳でもなかろうが、カンマーフィルの面々も実に動きがダイナミックだ。全員がソリストかと思わせるほど体全体で表現している。PACオケも取り入れるとよいかも。ハーンは時折オケメンバーへ笑顔を向け、終始楽しそうに演奏していて、こちらもハッピーであった。
ソロのアンコール2曲も良かった。1曲目はCDを持っているバッハのパルティータ3番からプレリュード。2曲目に同パルティータ1番からサラバント。サラバントでの深い響きにとても感動した。CD新譜が欲しくなる。
休憩後にいよいよシューベルトのグレイト。自分にとっては難解なイメージのある曲だ。どの楽章も徹頭徹尾、深淵かつ重厚といった気がする。気が抜けないというか、正直少しヘビーである。その印象は今回も変わらなかった。P・ヤルヴィらしい少し早めのテンポで強弱のメリハリのある運び。カンマーフィルのいずれも素晴らしい演奏。でも曲は重かった。
そして最後にアンコールで演奏されたのが、シベリウス作曲のアンダンテ・フェスティーボ。初めて聞く。この時、生まれて初めて音が見えた気がした。最後のティンパニー以外は弦楽パートのみで演奏されるのであるが、バイオリン・ビオラ・チェロ・そしてコントラバスから放たれた音の粒子が流れとなり、大きなうねりとなって観客の中へ入り込んでいったような錯覚を覚えた。チェロを弾く時、私のような下手でも稀に音が辺りの空気を巻き込んだように感じることがある。彼らの演奏はそれが曲の間続き、ホール内の空気が共鳴していたのだろうか。何とも不思議な体験だった。
終わってみればあっという間の2時間半であった。

秋〜冬の工作 その2

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Violanca(ヴィオランカ)の塗装が無事終わり、自作スピーカーの定位置ともいうべきSM10Zの上に収まったヴィオランカ。兄貴分の10Zと交互にならし音調を確認する。塗装前に仮付けした時より落ち着いた音になったと思う。
使用したユニット、マーク・オーディオ製 OM-MF5の特徴だろうか、音にスピードがあり能率が高い。メタルコーンゆえか人の声でいうと少しハスキーである。もっと滑らかさというか、しっとり感が欲しいと思っていた。だがしばらく聴いていると、それも個性に思えてきた。とっても良いのではないだろうか。時間と共に低音がもっと伸びてくれると嬉しい。期待して待つことにしよう。

<2018年12月24日追記>
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完成してからずっと鳴らしている。自作では常だろうが、音がどんどん変わり良くなってくる。それと共に新たな不満も出てくる。ハスキーさはかなり和らいできたが、今度は低音を増す為に設けた穴の風切り音が気になってきた。ニアフィールドで聴いているため気になりだすと音楽が耳に入らなくなる。向きを変えて試すが解消してくれない。いよいよヤマハの音響パネル導入か!(もっと他に先に試すべきことはあると思うが・・・)

<2018年12月30日追記>
風切り音は解消しないままだ。なのだが、音が格段に良くなってきた。28日夜、出張から戻って以来呆れるほど弾む音に魅了されている。ドラムやベースのパンチが半端ではない。ピアノや低弦楽器の沈み込みもサイズ感を超えている。人の声もハスキーさは残っているものの、とても伸びやかになった。懐メロ系だが、ジョージ・デュークの『DREAM ON』はこんなバリバリの低音だったかと今更ながら驚く迫力だ。寒さが本格化して空気が乾燥したことが幸いしているのか。一方で音の分離感はあまり良くならない。音像が塊のように聴こえることが多い。バスレフの宿命のようなものもあるのかな。

広州でザハ・ハディッド作品に触れる

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中国・広州で故ザハ・ハディッド氏の作品に接することが出来た。彼女は、そう、日本の国立競技場コンペに当選したものの工事費の高さで物議を醸したイラク出身の女性建築家。彼女の作品は、コンペ作品集やウィーンの小規模オフィスを眼にしたことがある程度。その斬新な形状の建物にある種の憧れを抱いていた。広州のオフィス街中心部にある花城広場に建つ、通称「広州オペラハウス」がそれである。2010年の完成時に撮られたと思われるGAの写真集に魅せられ、いつか観てみたいと思っていた。今回は仕事の合間に周辺超高層ビル群と共に触れることが出来た。残念ながらミュージカル公演の準備中で、豪華絢爛の金ピカホールはおろか中に入ることは出来なかった。オープン時からディテールよりも全体で語っていたであろうその建物は、あちこちに水のシミやら破損しかけた箇所があり、近くで観るのは忍びがたいものであった。

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二つの小石をイメージしたといわれる白と黒の二つの建物で構成されている。それにしてはずいぶん大きな「小石」だ。黒い方に大ホールがあり、白い方には少し小さい多目的ホールがある。小石の模様のようなカーテンウォール部分から照明が透けて見え、夜景がとても美しいそうだ。ザハは何をどう表現したかったのか。凡人の自分には多くを感じられなかった。それまでシャープなエッジの効いた鋭角的な立体で表現することの多かった彼女が、なぜ丸みを帯びた形状を選択したのだろう。なぜ、その曲面を三角形の平板の組み合わせで表現しようとしたのだろう。建物の不可解さと、落ち着きのない外部のあり方に多少不満が残る。

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鉄仮面のようなバックヤード側

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二つの建物に挟まれた通路がいい感じ。

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警備員に頼んで入り口から撮らせてもらった内部。内部も外の石張りパターンが繰り返されている。

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背後には、同じように黒と白の超超高層ビルが並ぶ。こちらは白い方が高く、530mの威容を誇る「広州周大福金融中心 東塔」。黒い方はやや低く、440mの同西塔である。

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この公園の周辺だけでも200mを超えるビルが数えきれないほど建っている。まさに超高層建築の展示場であった。

秋〜冬の工作

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昨年の自作スピーカー・ヴィオリーニに引き続き、今年も自作スピーカーにトライした。月刊ステレオ誌のコンテスト参加を目指してだったが、考えがまとまらなかったのと、時間的に行き詰まっていたので諦めかけていた。しかし先月新しいアイデアが浮かんだので再スタート。どうにか形が出来た。あとは仕上げに水性オイルステインを施してなんとか完成させたい。
とりあえず名前を付けた。少し大きくなったのでViolanca(ヴィオランカ)。ビオラの英語表記とスラブ系風名前のミックス。
ユニット仮付けで音出しをしてみた。まだ中音域がきつい感じだ。天板接着前にも音を出してみて、当初の密閉からバスレフに変更し、補強桟を追加し、吸音材の入れ方もいくらか試行錯誤で調整したつもりだった。仕上げをした後に再度吸音材で可能な限り調整するしかない。締切りまであと10日。ギリギリだ。