夏の読書2022 ”約束された移動”と”ガルシア・マルケス中短編傑作選”

たまたま新聞の書評で懐かしい作家名を見つけ購入した、ガルシア・マルケスの”ガルシア・マルケス中短編傑作選”。学生時代に”族長の秋”を手にしたが、何度読み返しても理解が追いつかず、途中でやめてしまった。彼の名は、いつか再び読んでみたい作家として心に残っていた。書店に届いたとの知らせで行った際、店主の薦めで一緒に買ってきたのが、小川洋子の”約束された移動”(2冊とも河出書房新社刊)。
どちらもまだ読み始めたばかりなのだが、不思議なことが起きた。

短編とはいえ40年間シコリを残したままの作家を夜遅くから読み始めるのはしんどい。とりあえず”約束された移動”に手をつけた。こちらも6つの小品を集めた短編集。冒頭にタイトル作品が登場する。今は落ちぶれているが、若い時微笑むギリシャ彫刻ともてはやされた映画俳優の影をホテルの客室係である私が追い続ける記録とでもいうような内容。その冒頭にスイートルームの書棚から消えた本として、ガルシア・マルケス『無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語』が現れる。もしかしてと思い、”中短編傑作選”の目次をめくると、なんと載っている。これも何かの運命、約束された移動?。
もちろん、”約束された移動”を読み終えるとすぐに、”無垢な”を読んだ。おかげで今朝は少々寝不足だ。