TAKING STOCK(テイキング・ストック)

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「Taking Stock」というのは「棚卸し」のことだそうだ。オーディオルームを以前より狭い部屋に移動し、LPやCDの収納場所が足りない。移動時に半分に減らす目標を立てたのだが、実行できたのはまだ1割にも満たない。そんな状態の中、我がロック愛聴盤の師と尊敬するピーターバラカン氏が昨年夏に『テイキングストック 僕がどうしても手放せない21世紀の愛聴盤』という本を出したことを知り、先日ようやく手元に届いた。

内容は最近2年間ほどでウェブサイトに執筆したコラムをまとめたもののようだ。さらに氏が2005年に米RollingStone誌に提出した”All–Time Top50”と”The Big List”なる700曲に及ぶ好きなアルバムのリストが載せられている。”The Big List”の中には手元にあるアルバムが結構含まれている。しかし、元々拠り所としたのが氏の著作『僕が愛する名盤240』なのだから当たり前か。気になったのは、エリック・クラプトン名義のアルバムが1枚もなかったこと。デレク・アンド・ザ・ドミノス名義の”レイラ・・・”とJ・メイウォール・ウイズ・E・クラプトン名義の”Bruce Breakers”がかろうじて載っているのみ。これだけは納得がいかないな。

本編となる21世紀の愛聴盤はどれも聴いてみたいものばかり。特に、数年前NHK–FMのミュージック・サンシャインで取り上げられ気になっていたが、ソフトを見つけられずそのままになっていた2枚に再び興味津々である。1枚は、Trio Da Kali & Kronos Quartetの”Ladilikan”。なんとアフリカ系ミュージシャン3人と弦楽四重奏団のコラボレーション。どんな曲だったかすっかり忘れたが、印象的なジャケットでもありアルバム全体を聴いてみたい。あと1枚はマンドリン奏者が奏でるバッハのバイオリン・ソナタとパルティータである。純粋なクラシックと言っても良いような演奏だが、バイオリンよりももっと親しみやすい音色だったと思う。このジャケットもアーシーな色使いが忘れられない。
他にも名前だけで聴いたことのないデレク・トラックス・バンドやニック・ロウ、あるいはマイケル・キワヌカ。そして、ジョニ・ミッチェル最後のアルバムとなるかもしれない”Shine”やウィリー・ネルソンが近年発表した”Last Man Standing”や”Summertime:Willie Nelson Sings Gershwin”などなど、目白押し。これではTaking StockどころかGrowing Stockだ。トホホ。

f:id:hinoikelife:20210509230528j:plain Trio Da Kali & Kronos Quartetの”Ladilikan”

f:id:hinoikelife:20210509230520j:plain Chris thile "Bach: Sonatas & Parthitas, Vol.1"