曇り空はオーディオ日和?

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ユーミン7枚目のアルバム『OLIVE』。りずむぼっくすのバーゲンコーナーでゲットした中古LP。先日聴いたときはあまり音が良いと思わなかったこのアルバム。今日はどんよりと曇っており湿度が高めのせいか、潤いのある良い音が出る。
B面2曲目「TSUMETAI AME」は長めのイントロ部でアコースティック感が強調され、曲中ベースの弾む感じもとても良い。続く3曲目以降もバックの音が前に出てくる感じで、曲を聴かせてくれる。アルバム全体に曲調の統一感があり、ユーミンのおしゃれな世界に浸ることができる。

続くは、ボズ・スキャッグスの実質的ファースト・ソロ・アルバムというサブタイトルの『ボズ・スキャッグス』。こちらはワーナーから発売された”新・名盤探検隊”シリーズの廉価版CDだが、これまた音が良い。特に高音がよく伸びる。66年オリジナルからのリマスターCD(16年)ということだ(以前はオリジナルから後にリミックスしたものがCD音源となっていたそうだ)。ギターにデュアン・オールマンも参加しているというのが、このアルバムの売りなのだが、そのギターの音が各所で小気味よく響く。特に12分超えの「LOAN ME A DIME」ではボズの熱唱も素晴らしいが、たっぷりとしたイントロを含め曲の大半を占めるセッションに痺れた。

そして、今晩最後はこれも先日入手したものの小音量だったためか、ライブ感をあまり感じられなかったザ・バンドの『ROCK OF AGES』、2枚組LP。f:id:hinoikelife:20210307085031j:plain
’ライブ’という言葉からイメージする「動」に対して、「静」の感がある黄金の仏顔。意味ありげであるがわからなかった。結論的には2枚とも音質はもう一つだった。1枚目A面は「DON'T DO IT」で静かに始まった。メンバーが緊張しているのか、ノリが悪い。B面2曲目「THE NIGHT THEY DROVE OLD DIXIE DOWN」辺りから徐々に盛り上がりが伝わってくる。2枚目になるとのっけから「THE WEIGHT」でいよいよライブらしくなる。しかし結論を言うと、彼らの曲は基本的に理詰め、あるいは歌詞に重点が置かれているのではないだろうか。観客が曲に酔いしれつつも歌を聞いている。歌詞がほとんど理解できないのが歯痒い。次回は歌詞を見ながら聴いてみよう。

好奇心

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狭いバルコニーに春がやってきた。小さな花かんざしが咲き揃い目を楽しませてくれる

少し前に京阪森小路駅近くの古書店キーツ・アンド・カンパニーで買った3冊のジャズ本のうち2冊め安原顯(自称天才ヤスケン)著『上野桜木ジャズ日記』をようやく読み終えた。紹介されるジャズ奏者の名前はほとんど初見のものばかり。しかし、文中に度々登場する寺島靖国氏との会話やオーディオ絡みの話が面白く、一応読み通した。

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それにしても、著者61歳前後でのエッセイが載っているのだが、そのネタとなっている多(乱)読・多(乱)聴、さらに展覧会やコンサート、そして人と会う回数の多さには圧倒される。帯に書かれた問いかけには自信を持って「ノー」である。どこからくるのかこのパワー。文学界やジャズ界の才能ある新人を発掘することに生きがいを感じているように書かれているが、先ず(できれば他者に先んじて)知りたいという欲求が誰よりも強かった人のようだ。そのために買いまくり、読みまた聴きまくっていたのだと思うが、本はともかく音楽はどうしていたのだろう。飛ばしながら少しずつ聴いて、本当に良さが分かるのだろうか?まさか早送りで聞き取ることもできないだろうに。

好奇心という点では、ヤスケンの足元にも及ばないが、尽きることはないようだ。先日もアナロクプレーヤーのカートリッジを取り替え、その音の変化に嬉しくなり、ついに上級クラスのプレーヤーに手を出してしまった。定価でこれまでの10倍近くもする新しいプレーヤーから取り出されてくる音は、当たり前だが、別次元である。ノイズフロアはほとんど聞き分けられないレベルに下がり、低音が地の底からスーと湧き上がるようである。音数も何倍にも多くなったようだ。これまで聞くに耐えないと思っていた中古LP達が生き返ったように音楽を聴かせてくれる。また手放すことが難しくなった。それどころか、ここ2週間ほどで30枚近くも増やしてしまった。

カートリッジを交換

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レコードプレーヤーのカートリッジを取り替えた。5年程使っていた付属のものも自分のレベルでは決して悪くはなかった。しかし、スピーカーが小型であることを考えても弾み感や迫力に不満があった。カタログにある目安の300使用時間を大幅に超えていることもあり、少しアッパー・グレードとなるGRADOのPRISTIGE Green3(3グレードのうちベースグレードのBlack3を選別した商品)をヨドバシカメラ梅田店で購入。一緒に買ったオルトフォンの最廉価シェルHS−4に取り付ける。これまではシェル一体だったので初めての作業。おぼつかない手つきでマニュアル見ながら取り付け、調整を行った。松任谷由美の「冷たい雨」(7枚目?のアルバム『OLIVE』B面2曲め)で音出し、前機種の不満点を少し解消してくれる音で、良いかなとしばらく聴いていた。ところが内周に入ると音が濁り初め、次第に音飛びするようになった。そこでアンチスケーティングを多めにかけたら、ますます飛ぶ。おかしいと思いまたマニュアルを読む。するとなんてことだ、逆のことをやっていた。音飛びするときは弱くしなければならなかったのだ。アンチスケーティングのことをインサイドフォース・キャンセラーというのはそういうことかと、今更ながら理解した。お粗末!
そんな具合なので音がどうこういう段階ではない。少なくとも低音はこれまでよりやや強めで、おそらく解像度も高いであろうということはわかった。今後徐々に良さが分かるのだろう。

ラウンド・ミッドナイト

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古本屋で買った寺島靖国著『辛口JAZZノート』というエッセイ集。昭和62年の本なので、著者が49歳。当時から現在への変遷・変節を感じながら読ませていただいた。本書中「ラウンド・(アバウト・)ミッドナイト」という曲のことが何度か出てくる。セロニアス・モンクの曲で、ジャズの有名なスタンダードであるらしい。そこで思い出したのが、いつものりずむぼっくす芦屋店で先日見つけたハービーハンコックのサントラ盤『ROUND MIDNIGHT』LP盤。買ったものの、初めを少し聴いただけで仕舞ったままだった。映画はジャズピアニストのバド・パウエルとサックス奏者レスター・ヤングの実話を題材にした物語。主役をサックス奏者のデクスター・ゴードンが演じ、ハービー・ハンコックもピアニストとして出演するという、なんともすごい映画だ。

さてそのLPを改めて聴いた感想。1曲目のタイトル曲を歌うボビー・マクファーリンの声は憂いを帯び胸に迫るものがある。どんな場面で流れるのだろうか。一番気に入ったのはB面5曲目の「MINUIT AUX CHAMPS−ELYSEES」。ハービーのピアノとボビー・ハッチャーソンのビブラフォンによるシンプルだが響きの美しい曲。古いLPだがノイズが少なく、ダイナミックレンジも良好だ。最近劣化の目立つカートリッジを替えてやるともっといい音楽に巡り会えるのだろう。

収穫あり

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久しぶりで勤務地近くの大きな商店街にある中古ショップへ出かけた。商店街は人が少なく1年前までが嘘のよう。通る人は日本人ばかり。ここ数年は外国人観光客の爆買いが話題だったのに。シャッターを下ろしている店が多く、テナント募集の看板もチラホラ。中小商店はあとどのくらい耐えることができるのだろうか。そんなことを考えながら目当ての店へ。店内はやはり客が少ない。それをいいことにじっくりCDコーナーを物色した。売れ行きが悪いからか、価格を下げた商品が多くある。選んだのはどれも1枚290円税込みで〆て2,030円也。ケースは帰宅したのち交換したのだが、それでも破格である。まだ全て未聴だが、盤面はどれもきれいである。それにしても、ジャンルに節操がないな。

エルビス・コステロのデビューアルバム「MY AIM IS TRUE」。高校時代からずっと欲しかった1枚。彼を知った当時はすでに4枚目が出ており、そちらをLPで買い聴きまくった。というか、他には数枚しか持っていなかった。
井上陽水のカバーアルバム「UNITED COVER」。この怪しげな色のジャケットが気になっていた。
ジャニス・ジョプリン「コズミック・ブルースを歌う」。聞いたことのない曲ばかり。あのしわがれ声の熱唱が楽しみだ。
④スティング「THE DREAM OF THE BLUE TURTLES」。40代の単身赴任中に一人寂しく聞いた名曲がたくさん。
ナタリー・コール「take a look」。名前で買い。
ホルスト「惑星」、ズビン・メータ指揮。デッカのベスト100選なのでハズレはないだろう。
シューベルト歌曲集「冬の旅」、ディースカウのバリトンペライアのピアノ。悪かろうはずがない。

いずれが当たりかハズレか聞いてからのお楽しみ。

 

<2021年1月29日追記>
夜寝る前の2時間ほどと在宅勤務時のBGMとして一通り聴いてみた。
①彼のまだ若々しい声が懐かしい。気持ちが若返る。
②スタンダード曲とはいえ、やけに古い曲ばかりと思ったら、発売は2001年。すでに20年経っていた。よく見るとカバー写真も髪がまだフサフサだった。
③いいなあ、この声。なんだか悟りきった人のように聞こえる。今度音量を上げて聴きたい。
④聴いていると色々思い出す。夜外灯もない雪道を、スティングを聞きながらおっかなびっくり運転していたなあ。
⑤80年代のアルバムに比べるとパンチに欠けるが、スタンダードをしっとり歌っているので聴き込むと良いのかも。
⑥堂々たる演奏。荘厳さが感じられた。かなりお気に入り。
⑦歌曲そのものをほとんど聞かないのでよくわからない。それでも嫌いではなかった。ディースカウの同曲で7つある録音の最晩年のものだそうだ。