「仮面舞踏会」を読んだ

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横溝正史作品の中で圧倒的人気の金田一シリーズ。その中で、あまり高評価されているとは言えない作品「仮面舞踏会」。
読み終わると何とも切ない気持ちになった。それはこの作品に限らず、金田一シリーズに多くあるが・・・。
金田一耕助が軽井沢で山を散策中に心中を図る二人と行き当たという、思わせぶりなプロローグで始まる。物語はその一年後、記録的な台風に見舞われた同じ軽井沢での変死事件を発端として第二第三の殺人事件、登場人物のドロドロした人間関係などが絡み合う。金田一耕助や等々力警部の登場人物との接点もそうだが、物語全体がかなり強引な展開を見せる。そして犯人とその動機は常軌を逸している。犯人の描写は読むに耐えないほど醜悪である。
これまで読んだシリーズの多くの作品に見られるヒューマニズムとは異なる、露骨な犯人批判の表現に違和感を覚えたのである。