広州でザハ・ハディッド作品に触れる

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中国・広州で故ザハ・ハディッド氏の作品に接することが出来た。彼女は、そう、日本の国立競技場コンペに当選したものの工事費の高さで物議を醸したイラク出身の女性建築家。彼女の作品は、コンペ作品集やウィーンの小規模オフィスを眼にしたことがある程度。その斬新な形状の建物にある種の憧れを抱いていた。広州のオフィス街中心部にある花城広場に建つ、通称「広州オペラハウス」がそれである。2010年の完成時に撮られたと思われるGAの写真集に魅せられ、いつか観てみたいと思っていた。今回は仕事の合間に周辺超高層ビル群と共に触れることが出来た。残念ながらミュージカル公演の準備中で、豪華絢爛の金ピカホールはおろか中に入ることは出来なかった。オープン時からディテールよりも全体で語っていたであろうその建物は、あちこちに水のシミやら破損しかけた箇所があり、近くで観るのは忍びがたいものであった。

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二つの小石をイメージしたといわれる白と黒の二つの建物で構成されている。それにしてはずいぶん大きな「小石」だ。黒い方に大ホールがあり、白い方には少し小さい多目的ホールがある。小石の模様のようなカーテンウォール部分から照明が透けて見え、夜景がとても美しいそうだ。ザハは何をどう表現したかったのか。凡人の自分には多くを感じられなかった。それまでシャープなエッジの効いた鋭角的な立体で表現することの多かった彼女が、なぜ丸みを帯びた形状を選択したのだろう。なぜ、その曲面を三角形の平板の組み合わせで表現しようとしたのだろう。建物の不可解さと、落ち着きのない外部のあり方に多少不満が残る。

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鉄仮面のようなバックヤード側

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二つの建物に挟まれた通路がいい感じ。

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警備員に頼んで入り口から撮らせてもらった内部。内部も外の石張りパターンが繰り返されている。

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背後には、同じように黒と白の超超高層ビルが並ぶ。こちらは白い方が高く、530mの威容を誇る「広州周大福金融中心 東塔」。黒い方はやや低く、440mの同西塔である。

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この公園の周辺だけでも200mを超えるビルが数えきれないほど建っている。まさに超高層建築の展示場であった。