今回の出張で帰国当日の朝、これまで気になっていた天津の租界地を1時間半程、気の向くままブラついた。租界地時代の建物が外観を比較的よくとどめて整備されているのが意外だった。多くが銀行などの事務所として今も使用されているようで、ごてごてした飲食店やブティックになっているものは見かけなかった。また、後で調べると海河の西岸は北から日本、フランス、英国、ドイツ、再び日本、川の東岸へ渡って南からベルギー、ロシア、イタリア、オーストリア・ハンガリー帝国の順で各国租界があったそうだ。上の写真はフランスエリアの建物と思われる。
こちらは現在中国銀行として使われているイギリスエリアにある建物。古典的なイオニア式柱頭を持つ完全な独立オーダーが軽快なプロポーションで使われており、重厚な中にも親しみが感じられる。
こちらもイギリスエリアの建物。同じイオニア式の柱頭飾りを45度振りどこから見ても同様に見えるようにした後期の意匠を採用。独立柱だがやや付け柱的な使われ方。柱身の中央がしぼられたように見える程引き締まったデザインが力強く、若々しさを感じさせる。そして、道路を挟んだ向かい側で面白い写真が撮れた。
ガラス部分にモノクロ写真のようにオーダーが映り、まるで絵画のよう。
他にもアール・デコ風の曲面が美しい建物があったり、
古典的なデザインを中国風にアレンジしたものもあったり、
カラッした空気の中で、コンパクトデジカメ片手に楽しい散歩となった。次回は一日かけてもっと広範囲を巡りたい。