イタリアのチェリスト

f:id:hinoikelife:20180311200038j:plain
イタリアのチェリスト、ルイジ・ピオヴァノは最高にかっこいい!
本日午後、兵庫県立芸術文化センターで開催されたPACの第104回定期演奏会。指揮は3/2に急逝された故ヘスス・ロペス=コボス氏に代わってマティアス・バーメルト氏。開演後、音合わせがないので変だなと思っていると、バーメルト氏が通訳と一緒にマイクを手に登場。3.11の傷跡未だ癒えない状況に黙祷をしましょうとのお話。1分ほどの時間がとてもとても長く感じられた。バーメルト氏はスイス生まれの75歳で、今年4月より札響の首席指揮者に就任予定だそうだ。指揮台への昇り降りを見ていると手を貸してあげたくなる感じだが、先日のリハーサル時に見せた堂々たる指揮ぶりは、さすがベテラン。本番ではなお一層泰然とし、必要最小限の動きでの素晴らしい統率ぶりに感動すら覚えた。
演奏曲は、1曲目がマスネの組曲 第4番「絵のような風景」。フランスの曲に多い(と思っている)鐘の音や管の響きが美しい。予習をしておけばもっと楽しめたのにと後悔。
そして、2曲目にピオヴァノ氏が登場し、サン=サーンスのチェロ協奏曲 第1番。ソリストなので演奏の中心となるのは当たり前だが、さらにオーケストラを従えて君臨している、とでも云えばよいだろうか。第1楽章1音めから魂がこもった音がした。そのすごみにオケに緊張感が走る。聴衆も同じ。音楽教室の先生がいつも言われる「1音1音に意味がある」というのは、斯くあることを指しているのか。
見た目もイケメンだが、ピオヴァノ氏の奏でるチェロの音色はとても男前というか、芯の通った太い音色だ。それはA線でも同じ。こんなどっしりした高音は初めて聴いたが、とても好きな響きだ(曲のイメージと合っているかはよくわからない)。弾いている時は眉間に皺をよせて呼吸を整えながら一心不乱という表情だが、休止の時はすごくいい笑顔で弦パートを見渡し、身振りや目線でタイミングの合図を送っている(ように見えた)。コンマス・豊嶋氏やチェロ首席の西谷氏には合図だけでなく何か話しかけているような場面もあった。自身のオーケストラを指揮するそうだが、まるで弾き振りのようだった。
アンコールがまた渋い。メモを見ながらとはいえ日本語で、自身の友人が先のイタリアの地震で亡くなったことを挙げ、日本の人の心に寄り添うといったことを話された。曲目はチェロパートだけで山田耕作の「赤とんぼ」。普通の童謡と思っていた曲が、チェロ・アンサンブルに編曲され何とも味わい深い曲になった。
休憩を挟んでの後半、レスピーギ作曲ローマ三部作中2曲(ローマの噴水とローマの祭り)の演奏が終了し、喜び勇んで列に加わりお二人のサインをいただいたのはもちろんである。