若きヴィルトゥオーゾの競演

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出典 http://repertory.jp/img/score/in/imc/imc529_1.png

本日、兵庫県立芸術文化センター大ホールにて「若きヴィルトゥオーゾの競演 チャイコフスキーシベリウス」と題したクラシックコンサートへ行ってきました。席は前から4列目で協奏曲にはうってつけ。独奏者が間近で見れます。

まずは、若干14歳ですでに国際コンクールでの優勝経験(2017年6月「第10回若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」チェロ部門で優勝)を持つ北村陽くん。曲目は、チャイコフスキー作曲「ロココ風の主題による変奏曲」。陽くんは何年か前テレビで見た時からすっかり成長して(当たり前ですね)ますが、それでも体に比してやや大きいフルサイズを両手でしっかりとかかえて登場。指揮は岩村力さん(PACレジデントコンダクター)、オケはPACオーケストラ。以前と変わらぬ陽くんスマイルで穏やかに始まりましたが、演奏は鳥肌が立つほど超一流。a線駒付近の高音部を易々と押さえて弾く姿に、チェロ初心者としては目が釘付けになりました。岩村さんも時折陽くんと向き合いながら終始にこやかに指揮しておられました。昨年聴いたアレクサンドル・クニャーゼフの同曲演奏で感じた精神性の深い味わいとは違った、若者らしいさわやかさが印象的な演奏でした。

続いては、18歳の女性ヴァイオリニスト・服部百音(もね)さん。彼女もまた、2009年(10歳!)リピンスキ・ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクールのジュニア部門で史上最年少第1位をはじめ、数々の国際コンクール受賞歴を持つ。その彼女がスパンコールのついた青みがかったグレーのドレス姿で登場。白い腕がまぶしい! 曲目は、シベリウス作曲「ヴァイオリン協奏曲 ニ短調」。パンフレットの解説に、初演時は超絶技巧を独奏者が要求に応えられず云々、と書いてある。初めて聴く曲で事前学習もしてこなかったため興味津々。第一楽章、その難しい曲をなんなく弾き熟していく百音さん。ソロの弱音部がとても美しい。そして第2楽章は繊細なソロから始まり、終始息が詰まるような緊張感。そのうち本当にノドが詰まり、咳き込みそうになるのを必死にこらえて聴きました。そして第3楽章の後半はソロとオケが一体となり熱狂的クライマックス。最後ピタリと決まり、拍手喝采。アンコール曲はイザイの無伴奏から第2番第4楽章。協奏曲中はほとんど笑顔がなかったが、終わってホッとしたのか、にこやかに伸び伸びとした演奏でした。

最後は、PACオケによるベートーベン作曲「交響曲第7番 イ短調」。クラシック歴の短い私が何度も聴いたことのある数少ない曲。それでも、生で間近で聴くと普段ちゃんと聴けていないことがよくわかる。こんなパッセージがあったんだと思うこと始終。ベートーベンは天才中の天才だなと独り言ちたのでした。指揮の岩村さんは、第4楽章で精力を使い果たすかのように腕を振りまくっていました。こんな一体感のあるPACオケを聴いたのは久しぶりで感動しました。そして、アンコール曲のシベリウス作曲「アンダンテ・フェスティーボ」を振り終わった岩村さんがフラフラになって退場され、お開きとなりました。