夏の読書

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この夏、長年関心はあるもの手を出すのを躊躇していた古典文学に挑戦した。その古典とは、古代英雄叙事詩の定番「イーリアス」と「オデュッセイア」。これまでこの二つの名作をいつか読みたいと思いつつ、ページ数の多さや登場人物の名前を覚えきれないなどを理由にしていつもためらっていた。今年8月立ち寄った書店で久々に「オデュッセイア」松平千秋訳、岩波文庫版の上巻が目に入り思い切って購入。読み出すとおもしろい、止まらないではないか。行き帰りの電車だけでは我慢できず夜遅くまで読んで数日で読破。続いて下巻。そして夏期休暇を前に「イリアス」上下巻に挑戦。さすがに休み中だけでは読み切れなかったが、蝉の声が少なくなった9月2日ようやく読み終えた。

イリアス」は、『トロイア戦争の末期、物語はギリシア軍第一の勇将アキレウスと王アガメムノンの、火を吐くような舌戦に始まる。激情家で心優しいアキレウス、その親友パトロクロストロイア軍の大将ヘクトルら、勇士たちの騎士道的な戦いと死を描く大英雄叙事詩。』(岩波文庫カバー解説による)

オデュッセイア」は、『トロイア戦争終結。英雄オデュッセウスは故国イタケへの帰途、嵐に襲われて漂流、さらに10年にわたる冒険が始まる。』(岩波文庫カバー解説による)

ざっとのストーリーは上記のとおりであるが、現代の言葉に翻訳された内容は、人間味あふれた登場人物(神々を含め)の言葉や活躍が活き活きと語られ、途中読み飽きることが無かった。困ったのは、数多くの登場人物の名前がよく似ており、また誰々の子という呼び方が度々で、何度も何度も前のページへ戻って確認しなければ理解が進まないことであった。それでも途中からは常套句の使われ方もある程度慣れ、ますます内容に惹かれていった。

読み終わって一番印象に残っているのは、古代の英雄たちも現代の我々同様に死に対する恐怖を持ち汚名を嫌い、それらを如何に克服し戦いに専念することで勝利を得るかに腐心していたことである。

イリアス」巻末の「ホメロス伝」(伝ヘロドトス作)による、ホメロスの生涯もまた人間臭く好ましかった。