読書

年末年始ハマったシリーズ本

京都のとあるジャズ・バーでのアルテック・612Cモニター(と思う)。この年季の入った佇まいが渋い。ユニットは604-8Gだろうか。さすが604シリーズ中で最高のスペックを誇るだけあり、ライブの合間に小音量ではあったが低域から高域まで過不足なく雰囲気タッ…

ゴルデン・ウィーク目前のまとめ買い(その2)

我が家のオリーブが初めて花芽をつけた。今年こそ実を収穫できるか!? 店主のチョイスが気に入って最近よく行く三宮の古書店でまとめ買いをした。最大のお目当ては植草甚一のスケッチブック・シリーズだったが単売をしている商品はなく、泣く泣く諦めた。そ…

還暦すぎてのドリトル先生

昨年12月も後半に入った頃、かねてより注文していた、『ドリトル先生物語 全13冊(岩波少年文庫)』が届いた。初めは、最近ハマっている井伏鱒二によって訳されていることを知り、少年時代に何度も読んだことを思い出し、懐かしむ程度の気持ちだった。特に初…

夏の読書2022 ”約束された移動”と”ガルシア・マルケス中短編傑作選”

たまたま新聞の書評で懐かしい作家名を見つけ購入した、ガルシア・マルケスの”ガルシア・マルケス中短編傑作選”。学生時代に”族長の秋”を手にしたが、何度読み返しても理解が追いつかず、途中でやめてしまった。彼の名は、いつか再び読んでみたい作家として…

秋の読書2021;寺島靖国編

寺島靖国のジャズ本を古本屋でまとめ買いした。3冊は、寺島氏単独の著作で、いずれもジャズ月間誌などに掲載された文章を編集したもの。あと1冊は、盟友・安原顕との対談集である。何年か振りで三宮の高架下商店街を覗いた。阪急三宮駅側の一部だけだが、…

秋の読書2021;マーク・トゥウェイン編

子供向けの冒険談という印象の2作「トム・ソーヤーの冒険」「ハックルベリー・フィンの冒険」を思い切って手にした。結果は、予想通り意外なものであった。これまで幾つかの子供の読み物と思われる作品、「星の王子さま」「ガリバー旅行記」などを読み返し…

秋の読書2021;アリーサ編

優しく微笑むアリーサ・フランクリン(師ピーター・バラカンがいつも「アリーサ」と呼んでいるので) マイケルの自伝が思いのほか面白かったので、以前から読みたかったアレサ・フランクリンの評伝『リスペクト』にトライした。著者デイヴィッド・リッツは、…

夏の読書2021 (夏の騎士編)

アーサー王と円卓の騎士を描いた中世の西洋画(Wikipediaより) N書店主のおすすめ本として、8月初め文庫本になった百田尚樹著『夏の騎士』を読んだ。 これはなんとも正真正銘の少年少女冒険談だ。帯に書かれている”百田版「スタンド・バイ・ミー」”に素直に…

夏の読書2021 (古寺巡礼編)

数十年前からいつか読みたいと思っていた和辻哲郎著『古寺巡礼』が、10年ほど前に再版されていたことを最近知り、慌てて購入した。実はまだ読み終わっていない。この本を読み始めてすぐの頃、立ち寄った古本店で土門拳の『古寺を訪ねて』3冊(4冊で一揃い…

初夏の読書2021

一風変わったタイトルに惹かれて買った中古本。筆者の白洲正子は、できるだけ避けるようにしていた一人であるが、食わず嫌いがあまりに多いことを反省し、最近はむしろ積極的に手にとるようにしている。本書は、筆者の随筆選集を活版刷り特別装丁の限定本と…

好奇心

狭いバルコニーに春がやってきた。小さな花かんざしが咲き揃い目を楽しませてくれる 少し前に京阪森小路駅近くの古書店、キーツ・アンド・カンパニーで買った3冊のジャズ本のうち2冊め安原顯(自称天才ヤスケン)著『上野桜木ジャズ日記』をようやく読み終…

時の本を読んだ

今話題の本であることでは間違いのない1冊、柳美里著・小説『JR上野駅公園口』を読んだ。読もうと思ったきっかけは、この小説が海外で大きな賞をもらったというニュースだった。学生時代に度々訪れ多少の思い出がある上野が舞台、福島は昨年自分で少し見聞…

夏の読書2020 その2精神科医・伊良部シリーズ

奥田秀朗の短編集、精神科医・伊良部シリーズ3冊を読んだ。家にいる時間が長くなり、ほぼ必然的に読書の時間が増えた。かといって、性格上読んだことのない作家のものはあまり手を出さない。今回も書店の方のおすすめだ。これまでも何度か紹介してもらい、…

夏の読書2020

近代日本を最もよく識る二人司馬遼太郎とドナルド・キーンの対談集『世界の中の日本 十六世紀まで遡って見る』(中央公論社、1992年刊)を読んだ。最近ついに1軒のみとなった最寄駅近くの書店で、ディスプレイとして置かれていた本書をお借りした。残念なが…

一喜一憂(その2)

2枚の写真は手前の桜と背景の松との位置関係が微妙に異なっている。わかるだろうか。 文字の可視化、そんなことを考えさせられた。単語を、言葉を訥々と紡いでいく。すると、親子ほど歳の離れた姉妹の間の濃密な空気が、生々しい息遣いまでもが見えるような…

春の読書 2020;壬生義士伝

今年に入って浅田次郎にハマっている。『プリズンホテル』に始まり、『勇気凜々ルリの色』『五郎次殿御始末』、そして今回の『壬生義士伝』。奨めていだいた書店の方が浅田次郎の最高傑作だ、と云われる通りだった。読んでいる最中に何度も涙が出そうになる…

冬の読書2019−20;プリズンホテル編

公園では早くも土筆が顔を出していた。 恥ずかしながら、このたび浅田次郎の小説「プリズンホテル」を初めて読んだ。かなりの衝撃だった。設定から、セリフから、展開のスピード感から、何から何までインパクトがあった。文庫本4巻に及ぶ長編がぐいぐいと心…

マイカメラ

富士フイルムのミラーレス、X-E3を購入してほぼ1年半が経つ。腕はあまり上達していないが、2本目のレンズとして10-24を買った。まだ本格的に外に持ち出していない。天気の悪い日が続き、部屋の中で手当たり次第に撮って傾向を確認している。35ミリ換算の15ミ…

譜面に向かう

生憎の曇天だが、ようやく見頃を迎えた近所のサクラ ドイツ生まれのチェリストで音楽教育者であるゲルハルト・マンテル氏による『楽譜を読むチカラ』(音楽之友社刊)をまた読んでいる。この本に書かれている内容は、きっと相当に高度なレベルを目指して書か…

ロックの水先案内人

福島(大阪の)での飲み会前、時間つぶしに立ち寄った古本屋さんで偶然出会った。 ピーター・バラカンという名前は、私の中では大学時代からずっとロックに関する知識の宝庫というイメージがある。イメージだけでなく、本当に知らないロックミュージシャンや曲…

「仮面舞踏会」を読んだ

横溝正史作品の中で圧倒的人気の金田一シリーズ。その中で、あまり高評価されているとは言えない作品「仮面舞踏会」。読み終わると何とも切ない気持ちになった。それはこの作品に限らず、金田一シリーズに多くあるが・・・。金田一耕助が軽井沢で山を散策中…

『オーディオ巡礼』を読む

五味康祐(ごみやすすけ)氏のエッセイ集3冊めは、ステレオサウンド誌上で1966年から1979年の間に掲載された「オーディオ巡礼」である。かろうじてお亡くなりになる直前のものはオンタイムで読んでいたと思われるが、今回初めて目にしたと同じであろう。それ…

五味康祐を読む

連続の台風・長雨、週末外に出る機会がめっきり減っている。そんな時は部屋でじっと好きな音楽を聴きながら本を読むのが一番である。インターネットでオーディオ関係を調べていて出会った懐かしい名前「五味康祐」、その人のエッセイ集を2冊読んだ。中高時代…

夏の読書2018

西宮市にある日本書紀にも登場する兵庫県では最古の神社・廣田神社の末社。30度を超える中でも暑さを感じさせないのは神の力か歴史の重みか。昨日の台風21号は近畿地方に大きな爪痕を残し、かつ重い重い課題を気付かせてくれた。考えが足りない訳ではない…

春のお勉強

ここ1ヶ月程の移動時間を利用して2冊の解説書を読んだ。テーマはどちらも擦弦楽器、いわゆるヴァイオリン属の楽器に関する内容である。1冊目は、「最上の音を引き出す弦楽器マイスターのメンテナンス」(園田信博著、誠文堂新光社刊)。ヴァイオリン製作家の…

冬の読書2

横溝正史・金田一シリーズを引き続き4冊読み切った。「本陣殺人事件」「獄門島」「八つ墓村」そして「悪魔の手毬唄」と続いた。他の方のブログで、金田一耕助が初めて登場する「本陣・・・」は早めに読むのがよいとあったので、再開後はじめに読んだ。確か…

冬の読書

先日空堀商店街で購入した「悪魔が来りて笛を吹く」を手始めに、10年以上前に読んだ「悪魔の降誕祭」、そして新たに購入した「犬神家の一族」「夜歩く」と立て続けに読んでみた。「悪魔が・・・」は472ページの長編だったが、笛の音が聴こえてきそうな不気味…

空堀商店街&界隈

チョコレートショップ&カフェ「Ek Chuah(エクチュア)」の一角本日は新年早々の休日出勤の振休。大阪中心部からほんの少し東にある「空堀商店街」に妻と二人で出かけた。 空堀商店街(からほりしょうてんがい)は、大阪市中央区南東部にある商店街。大坂冬の…

夏の読書

この夏、長年関心はあるもの手を出すのを躊躇していた古典文学に挑戦した。その古典とは、古代英雄叙事詩の定番「イーリアス」と「オデュッセイア」。これまでこの二つの名作をいつか読みたいと思いつつ、ページ数の多さや登場人物の名前を覚えきれないなど…